「FIREへの軌跡」柱の1本目として、まず「なぜFIREを目指すのか」を書く。資産額や収入額といった具体的な数字は次回以降の記事で扱う。今回は、その手前にある「何から自由になりたいのか」という動機の話だ。

私は今、本業のFDE(企業のAI導入支援)とマイクロ法人(Nogawa L.prince合同会社)の経営に加えて、複業4事業を子育てのすきま時間で並行運営している。子は2人いる。この状態からFIREを目指す理由を聞かれると、私はいつも同じ答え方をする。「資産を貯めて働くのをやめたいわけではない。何から自由になりたいかを、先に言葉にしておきたいだけだ」と。

目次

「子育て×FIRE」ブログの多くは投資が主軸、自分は違う

FIREを目指すブログは既にたくさんある。読んでみると、高配当株やインデックス投資、不動産といった資産運用が収入の主軸になっているものが大半だ。子育てをしながらFIREを目指す書き手も同様で、家計管理と投資の実践記録が中心になっている。

私のアプローチはそこと軸が違う。投資はもちろんやるが、収入の土台にしているのは複業と技術力だ。本業のFDEで培ったエンジニアリングスキルを使って、ドロップシッピング(storeforge)、空撮動画YouTube(aerial-earth-studio)、SNSアフィリエイト(afflow)、民泊という4つの事業を並行して立ち上げている。投資は「増やす」フェーズの手段であり、「作る」フェーズの手段ではない。FIREに向かう手段として、まず自分の技術力で複数の収入の柱を組み立てることを優先している。

この違いは、単なる好みの問題ではない。フリーランスエンジニアとして技術力を持っていること自体が、投資資金の種銭を稼ぐ速度にも、複業事業を立ち上げる速度にも直結する。技術力を軸にしたFIRE実践記があまり見当たらないなら、それを自分で書けばいい、というのがこの柱を始めた理由の一つでもある。

「何から自由になりたいか」を3軸で棚卸しする

FIREを目指すと言うと、多くの場合「資産がいくらあれば働かなくていいか」という計算の話に一直線に向かう。だが私は、その計算に入る前に「そもそも自分は何から自由になりたいのか」を先に言葉にしておくべきだと考えている。目的が曖昧なまま数字だけ追いかけると、達成しても「で、何が変わるんだっけ」となりかねない。

私が実際に使っている棚卸しの軸は3つある。

  1. 支出の自由: 生活のために切り詰めている支出、あるいは逆に「本当はもっと使いたいのに我慢している」支出は何か。単に「贅沢したい」ではなく、「子どもの選択肢を狭めたくない」「必要な学びや経験にお金を出し渋りたくない」といった、支出を我慢する理由の側を先に特定する
  2. 時間の自由: 1日・1週間のうち、自分の意思で使える時間はどれくらいあるか。子育てと本業の間に「すきま時間」しか残らない今の状態は、時間の自由度が低い状態だと言える。これを広げたいのか、それとも今の密度のまま使い道を変えたいのかを分ける
  3. 意思決定の自由: 誰の承認を得ずに動ける範囲はどこまでか。クライアントワークである以上、本業には常に相手の意思決定が絡む。複業やマイクロ法人を持つ理由の一つは、この「自分だけで決められる領域」を広げることにある

この3軸で棚卸しをすると、「FIRE=資産額」という単一の物差しでは見えなかった、自分にとっての優先順位が見えてくる。私の場合、支出の自由は今のところ切実な不満ではない。一方で、時間の自由と意思決定の自由は明確に足りていない。だからこそFIREを目標に据えている。

読者にも同じ問いを投げたい。支出・時間・意思決定の3つを紙に書き出してみると、自分が本当に欲しいのが「お金」なのか「時間」なのか「裁量」なのかが分かれてくるはずだ。

複数の手段を1つのゴールに束ねる理由

本業のFDE、複業4事業、マイクロ法人——これらは別々にやっているように見えるかもしれないが、私の中では全部FIREという1つのゴールに向けた手段として位置づけている。

FDEは今の収入の土台であると同時に、AI導入支援という専門スキルそのものが複業側にも横展開できる資産になっている。複業4事業は、その専門スキルを使って本業以外の収入源を作る実験場だ。まだどれも「これ一本で食っていく」規模には達していないが、業態の異なる複数の事業を同時並行で検証すること自体が、1つの当たりに賭けるより時間対効果が高いと判断している(この判断の詳細は複業ログ柱の記事で書いた)。マイクロ法人は、個人事業とは別の器を持つことで、収入の受け皿と意思決定の裁量を広げる役割を担っている。

これらが別々の目的でバラバラに動いているなら、いずれ息切れする。だが「時間の自由」と「意思決定の自由」を広げるという共通のゴールに束ねておくと、どの事業に時間を使うかの優先順位づけがぶれない。すきま時間しかない中で複数の取り組みを続けられているのは、この1本の軸があるからだと思っている。

経済的自由を資産額だけで定義しない

もう一つ、この柱で意識して書いていきたいことがある。経済的自由を「資産がいくらあるか」だけで定義しないということだ。

資産額は当然、FIREの前提条件として重要だ。この柱でも今後、具体的な数字を出しながら進捗を記録していく。ただ、資産額が同じでも、時間の使い方に裁量がある人とない人とでは、体感する自由度はまったく違う。子育てをしながら働いていると、この差を日々実感する。フルタイムで拘束される働き方であれば、たとえ資産があっても「子どもの体調不良で今日は動けない」という場面で選択肢が狭まる。フリーランス・複業・マイクロ法人という組み合わせを選んでいるのは、資産形成と並行して、この時間の裁量そのものを今から広げておきたいからでもある。

つまり私にとってのFIREは、「働かなくても資産で生活できる状態」という最終形だけを指すのではなく、「支出・時間・意思決定の自由度を、今この瞬間から少しずつ広げていくプロセス」全体を指している。

まとめ

  • 「子育て×FIRE」の先行ブログの多くは投資が収入の主軸だが、私は複業・技術力による収入構築を軸にしている
  • FIREを目指す前に、「何から自由になりたいか」を支出・時間・意思決定の3軸で棚卸しすることを勧める
  • 本業のFDE・複業4事業・マイクロ法人は、すべて「時間と意思決定の自由を広げる」という1つのゴールに向けた手段として束ねている
  • 経済的自由を資産額だけで測らず、時間の裁量が広がっていくプロセスとして捉えている

次回以降、この3軸の棚卸しを踏まえた具体的な数字と、資産形成の進捗を記録していく。

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