マイクロ法人と個人事業主の二刀流になると、小規模企業共済を「個人事業主として」入るのか「法人の役員として」入るのかで迷います。私は法人を作る前に個人事業主として加入し、今も月7万円をかけ続けています。

この記事では、二刀流の人がどちらの立場で入れるのか、私が個人事業主のまま続けている理由、そして解約や廃業のときに気をつけることを、中小機構と国税庁の資料で整理します。

この記事の結論(先に3点)

  1. 契約は1人1つだけ。二刀流なら「主として携わっている立場」で入る: 個人事業主と法人の役員を兼ねている人は、どちらか主な立場で加入します。どちらが主かは本人が判断します。
  2. 掛金は全額が所得控除になる: 月1,000円〜7万円(500円単位)の掛金は、所得税でも住民税でも全額が控除されます。私は上限の月7万円(年84万円)をかけています。
  3. やめ方で受け取り方と税金が変わる: 加入から20年(240か月)未満の任意解約は、受け取る額が掛金の合計を下回ります。個人事業をやめるときは、受け取るのか、立場を変えて続けるのかを先に確かめます。

この記事の前提

  • 制度の記述は、2026年10月16日に確認した中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)・国税庁・e-Govの資料にもとづきます。
  • 私の体験は、Nogawa L.prince合同会社(2021年設立)の役員と、個人事業主の二刀流での記録です。加入の判断は人によって違うため、迷う点は中小機構の窓口で確かめてください。

二刀流の人は、どちらの立場で入るのか

小規模企業共済は、個人事業主も会社の役員も加入できます。従業員数の条件は業種で違い、多くのサービス業では常時使用する従業員が5人以下、建設業・製造業などでは20人以下です。

二刀流の人が気になるのは、両方の立場があるときです。中小機構のFAQは、個人事業主が同時に別の会社の役員として登記されている場合、**「いずれか主として携わっている事業(地位)でご加入いただくことになります」**と答えています。どちらが主かは、本人が判断します。

そして、契約は1人1つまでです。小規模企業共済法第3条第4項は、すでに共済契約者である人は新たな共済契約を結べないと定めています。「個人事業主で1口、役員で1口」という入り方はできません。

立場 加入できるか 二刀流のときの考え方
個人事業主 できる(従業員数の条件あり) 個人事業が主なら、こちらで入る
会社の役員 できる(従業員数の条件あり) 法人の事業が主なら、こちらで入る
両方で1つずつ できない 契約は1人1つ(小規模企業共済法第3条第4項)

私が個人事業主のまま続けている理由

私が小規模企業共済に入ったのは、マイクロ法人を作る前です。当時は個人事業主だけだったので、迷うことなく個人事業主として加入しました。入った一番の理由は、掛金がそのまま所得から引ける節税の効果です。

その後に法人を作り、役員になってからも、本業のエンジニアリング支援は個人事業主として続けています。収入の中心は今も個人事業のほうなので、「主として携わっている立場」も個人事業主のままです。

中小機構は、加入したときに資格を満たしていれば、加入後に給与所得者になった場合なども契約を続けられると案内しています。個人事業を廃業せずに法人の役員にも就いた例も、続けられる例として挙げています(ただし中小機構が挙げているのは医療法人の例で、合同会社の役員と兼ねる場合をそのまま示したものではありません)。私の場合は、加入の土台になった個人事業を続けているので、契約はそのまま続けています。

掛金と所得控除

掛金は、月1,000円〜7万円の範囲で、500円単位で決められます。途中で増やすことも、理由なしに減らすこともできます(前納した期間の分は減らせません)。ただし、増額・減額すると掛金の区分ごとに納付月数を数えるため、加入期間が240か月以上でも、任意解約で受け取る額が掛金の合計を下回ることがあります。

税金の扱いは、所得税と住民税の両方で同じです。

税金 扱い 根拠
所得税 その年に払った掛金の全額を、小規模企業共済等掛金控除として所得から引く 所得税法第75条、国税庁タックスアンサーNo.1135
住民税 前年に払った掛金の全額を、所得割の計算で所得から引く 地方税法第314条の2第1項第4号

私は上限の月7万円、年84万円をかけています。二刀流で役員報酬と個人事業の所得がある場合も、控除は個人の確定申告で、両方を合わせた所得から引きます。確定申告の流れはマイクロ法人と個人事業主の二刀流の確定申告にまとめています。

どれくらい税金が減るかは、所得税の税率によって変わります。たとえば課税される所得にかかる所得税の税率が20%の人なら、年84万円の控除で所得税が約16.8万円(復興特別所得税は別)、住民税(所得割10%)が約8.4万円、それぞれ少なくなる計算です。これは仕組みを示すための例で、私の実際の税額ではありません。

やめるときの注意点

掛金をかけている間は税金が減りますが、やめ方によっては損をします。加入の前に、出口の扱いを知っておくと安心です。

場面 扱い
掛金を納めた月数が6か月未満で、廃業などの理由が生じた 共済金(A・B)は受け取れない
掛金を納めた月数が12か月未満で解約 解約手当金は受け取れない(掛け捨てになる)
240か月(20年)未満で任意解約 受け取る額が、納めた掛金の合計を下回る(途中で増額・減額した場合は、240か月以上でも下回ることがある)
任意解約の解約手当金の税金 65歳未満は一時所得、65歳以上は退職所得
共済金を一括で受け取る 退職所得
共済金を分割で受け取る 公的年金等の雑所得(60歳以上などの条件あり)

20年未満で解約すると元本を下回るので、資金繰りが苦しいときに解約で現金を作るのは避けたいところです。中小機構には、納めた掛金をもとにした貸付制度もあります。

個人事業をやめるときは、受け取るか続けるかを確かめる

二刀流の人にとって大事なのは、個人事業をやめるときの扱いです。個人事業を廃業した場合は、共済金を受け取る理由(共済金A)になります。一方で、個人事業を法人成りして、その会社の役員として加入資格を満たす場合は、「同一人通算」の手続きで、個人事業主として納めた月数を引き継いで契約を続けられます。この手続きは、理由が生じてから1年以内に申し出る必要があります。

ただし、すでに別の法人の役員を兼ねている人が、あとから個人事業だけをやめる場合に、どちらの扱いになるかは、今回調べた中小機構の資料では確かめられませんでした。私も個人事業をやめる予定はありませんが、その時が来たら、手続きの前に中小機構に確かめるつもりです。

加入前のチェックリスト

参考資料

いずれも2026年10月16日に確認しました。

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