副業の所得が20万円を超えて、初めて確定申告をすることになった。 そんなとき、いちばん手軽なのが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作り、マイナンバーカードを使ってe-Taxで送る方法です。スマホだけでも申告できます。

この記事では、会社員(年末調整済み)が、副業の業務に係る雑所得(原稿料・デザイン料などの継続的な副収入)を申告する場合を例に、国税庁の資料(2026年10月8日に確認)をもとに手順を整理します。

この記事の前提

  • 作成コーナーの画面や手順は、令和7年分(2025年分)の国税庁の資料にもとづきます。2026年分の作成コーナーは、まだ公開されていません。画面の名前やボタンは年分で変わることがあるので、申告するときは国税庁のその年の案内を確認してください
  • 事業所得として青色申告をする場合の手順(決算書の作成など)は扱いません

この記事の結論(先に3点)

  1. 必要なものは、マイナンバーカード・読み取りできるスマホ・2種類の暗証番号・源泉徴収票・副業の収入と経費の記録: パソコンで送るときも、スマホかICカードリーダライタでカードを読み取る
  2. 年末調整を受けた給与も含めて、すべての所得を申告する: 副業の分は「雑(業務・その他)」から、収入金額と必要経費を入力する
  3. 2026年分の申告期限・納期限は2027年3月15日(月): 住民税を自分で納めたい人は、作成コーナーの「住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」を選ぶ

確定申告が必要かを先に確かめる

会社員の場合、給与を1か所から受けて年末調整されていて、副業などの所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則として不要です(国税庁 No.1900)。20万円は、収入ではなく**所得(収入−必要経費)**で数えます。判断の詳しい手順は、副業の確定申告はいくらから必要かにまとめています。

20万円以下で確定申告をしない場合も、住民税の申告は必要です。こちらは副業が20万円以下のときの住民税の申告のやり方を参照してください。

用意するもの

国税庁の「スマホとマイナンバーカードでe-Tax!」(令和7年分)によると、e-Taxで送るのに必要なものは次のとおりです。

用意するもの 内容
マイナンバーカード 電子証明書の有効期限内であること
マイナンバーカードを読み取れるスマホ パソコンで送る場合は、読み取りできるスマホかICカードリーダライタ
2種類の暗証番号 利用者証明用(数字4桁)と署名用(英数字6〜16文字)
マイナアプリ スマホにインストールして使う

申告の中身のために、次のものも手元に置きます。

  • 会社の源泉徴収票: 給与の金額や源泉徴収税額を入力する
  • 副業の収入と経費の記録: 取引先ごとの報酬額、源泉徴収された税額、経費の領収書など
  • 控除の証明書: 医療費控除やふるさと納税などがあれば

ID・パスワード方式は新しく取れない

マイナンバーカードを使わずに送る「ID・パスワード方式」もありますが、国税庁は2025年10月1日から新規発行を停止しています。e-Taxの案内では、ID・パスワード方式は「令和9年分確定申告からは利用できなくなる予定です」とされています。これから始める人は、マイナンバーカード方式を前提に準備します。

作成コーナーでの手順(令和7年分の資料にもとづく)

国税庁の「令和7年分 スマホご利用ガイド」の簡易版に沿うと、スマホでの申告はおおまかに次の流れです。

  1. 作成コーナーで作成を始め、マイナンバーカードを読み取る
  2. 申告する所得を選び、収入や控除を入力する
  3. 送信前に申告内容を確認する
  4. e-Taxで送信し、送信結果を確認する
  5. 申告書の控えと入力データを保存する

細かな画面の順番は年分で変わるので、その年のガイドに沿って進めてください。

同じガイドには、「年末調整を受けた給与所得も含めて申告が必要です」という注意があります。確定申告をする人は、副業の分だけでなく、会社の給与も含めて1年分の所得をすべて申告します。

給与の入力

源泉徴収票の金額を入力します。勤務先が税務署にe-Taxなどで源泉徴収票を出している場合は、マイナポータル連携で自動入力できることがあります(後述)。

副業(業務に係る雑所得)の入力

国税庁のNo.1500によると、業務に係る雑所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算します。業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものです。

e-Taxのよくある質問によると、作成コーナーでは「申告する所得の選択等」で「雑(業務・その他)」にチェックを入れ、雑所得の入力画面から、取引先ごとに収入金額と必要経費を入力します。

注意点が3つあります。

  • 雑所得の赤字は、給与と相殺できない: No.1500では、雑所得の損失は他の所得と損益通算できないとされています。副業が赤字のときの扱いは副業が赤字のときの確定申告にまとめています
  • 収支内訳書の添付は、前々年の収入が1,000万円を超える場合: 所得税法第120条第6項とNo.1500で、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人は、収支内訳書などの添付が必要とされています
  • 書類の保存は、前々年の収入が300万円を超える場合: 所得税法第232条第2項とNo.1500で、前々年分の業務に係る収入金額が300万円を超える人は、請求書や領収書など現金預金取引等関係書類を保存する必要があります

源泉徴収された報酬の入力

原稿料やデザイン料などで、報酬から所得税が源泉徴収されている場合は、その税額も入力します。令和7年分の確定申告の手引きでは、源泉徴収税額は第二表の「所得の内訳」欄に支払者ごとに書き、合計を第一表に書きます。作成コーナーでは、支払者ごとの種目・支払者の名前・源泉徴収税額を入力する画面があります。

取引先から届く支払調書は、入力の参考にするものです。令和7年分の手引きの「申告書に添付・提示する書類」の一覧には、支払調書は入っていません。

住民税を「自分で納付」にする欄

副業の所得の住民税を、給与から天引きではなく自分で納めたい場合は、作成コーナーで選びます。e-Taxのよくある質問によると、基本情報の入力画面の一つ前の画面の下部にある「住民税の徴収方法の選択」で、「特別徴収(給与から天引き)」か「自分で納付」を選びます。

給与・公的年金等の所得だけの人には、この項目は表示されません。また、作成コーナーの画面では「普通徴収」ではなく「自分で納付」と書かれています。仕組みと注意点は、副業の住民税を普通徴収(自分で納付)にする方法にまとめています。

マイナポータル連携で自動入力できるもの

国税庁の令和7年分の案内では、マイナポータル連携で次のような情報を自動入力できます。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 医療費
  • ふるさと納税
  • 生命保険料・地震保険料の控除証明書
  • 国民年金保険料などの社会保険、iDeCo、住宅ローン控除の関係書類 など

給与所得の源泉徴収票は、勤務先がe-Taxまたは認定クラウド等で税務署に源泉徴収票を提出していることが条件です。書面や光ディスク等で提出された分は対象になりません(国税庁の給与情報の連携の案内)。初めて使うときは事前の準備が要るので、国税庁の案内に沿って早めに済ませておきます。自動入力された内容は、手元の源泉徴収票と照らし合わせておくと安心です。

期限と納付

2026年分の申告期限・納期限は2027年3月15日(月)

国税庁の「暮らしの税情報(令和8年度版)」によると、2026年分(令和8年分)の確定申告の申告期限と納期限は、**令和9年(2027年)3月15日(月)**です。窓口での受付は2月16日(火)からです。還付を受けるための申告は、それより前でも出せます。

納付の方法

令和7年分の確定申告の手引きでは、次の納付方法が案内されています。申告しても、税務署から納付書は届きません。

方法 主な注意点(令和7年分の手引き)
振替納税 事前に届け出が必要
ダイレクト納付 初回に届出書が必要
インターネットバンキング・ATM
クレジットカード 決済手数料がかかる
スマホアプリ納付 30万円以下
コンビニ(QRコード) 30万円以下
税務署・金融機関の窓口 現金で納付

上限額などの条件は令和7年分の手引きの記載で、2026年分も同じかは、その年の案内を確認してください。振替納税の引き落とし日は、国税庁の「主な国税の納期限及び振替日」で、2026年分は「令和9年4月中旬〜下旬」とされています。

還付を受ける口座

税金が戻る場合は、還付金を受け取る口座を指定します。令和7年分の手引きでは、登録した公金受取口座を使う方法も案内されています。

申告したあとで間違いに気づいたら

  • 期限内: 正しい申告書を作り直して、期限までに出し直す(令和7年分の手引き)
  • 期限後に、税金が少なすぎたと分かった: 修正申告をする。納付の日までの延滞税もあわせて納める(国税庁 No.2026)
  • 期限後に、税金が多すぎたと分かった: 更正の請求をする。原則として法定申告期限から5年以内(No.2026)

作成コーナーには、更正の請求書・修正申告書を作るページもあります。

副業は雑所得か、事業所得か

この記事は、副業を業務に係る雑所得として申告する場合を例にしました。事業所得になるかどうかは、所得税基本通達35-2の(注)で、その活動が「社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」とされています。

同じ(注)では、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は業務に係る雑所得とされます。ただし、収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合は除かれます。300万円や帳簿だけで自動的に決まるわけではない点に注意してください。

うまくいかなかったこと・この記事で確かめていないこと

  • 2026年分の作成コーナーの公開日は、まだ告知を確認できていない
  • スマホ専用画面で入力できる所得や控除の範囲は、令和7年分の一覧を見つけられなかった。スマホで入力できない項目は、パソコンと同じ画面になることがある
  • 「支払調書は添付不要」と国税庁が明記した文書は見つけていない。手引きの添付書類の一覧に入っていないことだけを確認した
  • 納付方法の上限額などは令和7年分の手引きの記載で、2026年分も同じかは確認していない
  • 2026年分から給与情報の連携が広がると国税庁は案内しているが、その理由は確認していない

まとめ

  • 必要なものは、マイナンバーカード、読み取りできるスマホ(パソコンならスマホかICカードリーダライタ)、2種類の暗証番号、マイナアプリ、源泉徴収票、副業の収入と経費の記録
  • ID・パスワード方式は2025年10月から新規発行停止。令和9年分からは使えなくなる予定
  • 年末調整を受けた給与も含めて申告する。副業は「雑(業務・その他)」から収入と経費を入力。雑所得の赤字は給与と相殺できない
  • 収支内訳書の添付は前々年の収入1,000万円超、書類の保存は300万円超
  • 住民税を自分で納めたいなら「住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」
  • 2026年分の申告期限・納期限は2027年3月15日(月)。間違いは期限内なら出し直し、期限後は修正申告か更正の請求

参照した資料(2026年10月8日確認)

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