マイクロ法人運用の実務記事として、今回は口座とカードの使い分けルールを具体的に書く。「地味に手間だったこと」で、支払いのたびに法人か個人かを判断するコストが一番の負荷だったと書いたが、今回はその負荷を減らすために実際に組んだ仕組みそのものを記録する。

先に結論を書くと、私の場合は「判断」ではなく「割り当て」で解決した。支払いのたびに考えるのをやめ、事業ごとに使う口座・カードをあらかじめ固定し、どの財布から払うかは事業が決まった瞬間に機械的に決まる状態を作った。今回はその割り当ての具体的な中身と、それでも残っている運用の穴について書く。

口座は「法人」「個人事業」「プライベート」の3層で分けた

まず前提として、私は口座を3層に分けている。法人(Nogawa L.prince合同会社名義)の口座、個人事業(フリーランスエンジニアとしての屋号口座)、そして完全にプライベートな生活口座の3つだ。

法人口座には、複業のうち法人に紐づけている事業(民泊など)の売上と経費を集約している。個人事業口座には、本業FDEの売上と、法人に紐づけていない複業(storeforge、aerial-earth-studio、afflowの一部)の売上・経費を集約している。プライベート口座は生活費専用で、事業関連の入出金は一切通さないというルールにしている。

この3層構造にした理由は、「なぜ個人事業だけで続けずマイクロ法人を作ったのか」で書いた通り、本業は個人の専門スキルに紐づく一方、複業は事業として独立させたいという性質の違いをそのまま口座構造にも反映させたかったからだ。口座を分ける粒度を事業の性質と一致させたことで、後述するカードの割り当てもシンプルになった。

カードは「事業単位」で発行し、支払い元の判断をなくす

口座の3層構造に対応させる形で、クレジットカードも事業単位で発行している。私の場合の割り当ては次の通りだ。

  • 法人カード1枚: 法人に紐づく複業(民泊など)の経費専用。サブスクツール、消耗品、広告費などはすべてこのカードで支払う
  • 個人事業カード1枚: 本業FDEおよび法人に紐づけていない複業の経費専用。書籍代、ツール費用、外注費などをここに寄せる
  • プライベートカード1枚: 生活費専用。事業経費は一切通さない

ポイントは、支払う瞬間に「これは法人経費か個人事業経費か」を考えないで済むよう、そもそも使うカードを事業ごとに固定してしまったことだ。「地味に手間だったこと」で書いた通り、法人化前は事業の性質ごとに支払い判断が都度発生していたが、カードを先に割り当てておけば、判断するのは「この支出がどの事業に属するか」の1点だけになり、「どの財布から払うか」は自動的に決まる。

複業を新しく始めるとき、あるいは既存の複業を法人に紐づけるかどうか見直すときは、その時点でどのカードを使うかを先に決め、以降は機械的に運用する。この「事業を決めた瞬間にカードも決まる」流れにしてから、支払いのたびの判断コストは体感でかなり減った。

それでも残る「割り当てられない支出」の扱い

完全にルール通りにいかないケースも当然ある。代表的なのが、複数事業にまたがる共通コストだ。例えば、複業全体で使うクラウドストレージやコミュニケーションツールのように、法人紐づけ事業と個人事業紐づけ事業の両方で使っているサービスがある。

こうした共通コストについては、私の場合は主たる利用実態がどちらに近いかで一旦どちらかのカードに寄せ、按分が必要なほど金額が大きくなった場合のみ、決算前にまとめて調整するという運用にしている。毎回厳密に按分しようとすると判断コストが戻ってきてしまうため、金額基準(1万円以下は按分せず主たる事業側に寄せる、という自分ルール)を決めて機械的に処理している。

もう1つの穴は、うっかり違うカードで払ってしまったケースだ。外出先で急に発生した支払いなどで、手元にあったカードで決済してしまうことが月に数回ある。これは事後に気づいた時点で記帳側で事業タグを付け直す運用にしており、カード自体を後から変更することはできないため、記帳の段階で帳尻を合わせる形にしている。この記帳時の事業タグ付けについては「地味に手間だったこと」で触れた帳簿の切り分け作業とも重なる部分で、完全な自動化はまだできていない。

まとめ

  • 口座は「法人」「個人事業」「プライベート」の3層に分け、事業の性質(本業は個人、複業は法人紐づけの有無で分岐)とそのまま対応させている
  • カードも事業単位で3枚に固定し、支払いのたびに「どの財布から払うか」を判断せず、事業が決まった時点で機械的に決まる状態を作った
  • 複数事業にまたがる共通コストは、按分の判断コストを避けるため金額基準で主たる事業側に寄せる自分ルールを決めている
  • うっかり違うカードで払ったケースは記帳時の事業タグ付けで事後修正しており、この部分の完全自動化はまだできていない

次回は、この口座・カード運用と連動させている記帳・経理の具体的なフロー(クラウド会計ソフトの使い方や事業タグ付けのルール)について書く予定だ。

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