「FDEって実際、日々何をやっているんですか」。この職種の実務イメージが湧かないという声をよく聞く。今回は、私の実際の1週間を、業務内容が特定できない範囲で抽象化しながら書いてみる。

目次

月曜日: 前週の振り返りと今週の優先順位づけ

週の始まりは、前週の進捗を振り返るところから始まる。検証中の案件がどこまで進んだか、止まっているものがあれば何が原因かを整理する。

ここで意識しているのは、「技術的なタスク」と「技術外のタスク」を同じ優先順位のリストに並べることだ。実装の続きと同じ重みで、「稟議の状況を確認する」「情シスへのフォローアップをする」といった項目を並べる。前回の記事で書いた通り、これらはFDEにとって実装と同じくらい本質的な仕事なので、別枠のタスクとして後回しにしない。

火曜日: クライアント先での現場作業

週の中盤は、クライアント先での現場作業に時間を割くことが多い。この日は、事前に用意したプロトタイプや検証結果を持って、現場の担当者とすり合わせをする。

現場で過ごす時間の使い方として意識しているのは、打ち合わせの前後にある雑談の時間だ。打ち合わせの本題以外の会話——最近どんなことに困っているか、他部署ではどんな動きがあるか——から得られる情報は、後々の案件の進め方に効いてくることが多い。

水曜日: 実装とドキュメント化

実装に集中して時間を取れるのは、週の半ばであることが多い。この日は、前日までの現場でのフィードバックをもとに、プロトタイプや検証項目を作り込む。

同時に、進めた作業をドキュメントに残すことも並行してやる。特にクライアントの意思決定に使われる資料は、後から見返しても文脈がわかる形にしておく。実装だけして記録を残さないと、後々「なぜこの設計にしたのか」を説明できなくなる。

木曜日: 意思決定者向けの資料作り

木曜日は、その週の成果を意思決定者向けに整理する時間に充てることが多い。現場の担当者との合意と、決裁者が求める判断材料は、必ずしも同じ粒度ではない。

ここでやるのは、費用対効果やリスクといった、決裁者が気にする観点での言語化だ。技術的な成果をそのまま報告するのではなく、「この検証によって何がわかり、次に何を判断すべきか」という形に翻訳する。この作業は地味だが、稟議を前に進める上で欠かせない。

金曜日: 次週への橋渡しと情シス・関係者フォロー

週の終わりは、次週にスムーズに移行できるように準備する時間に使う。情シスへの申請や確認事項があれば、週末を挟む前にフォローしておく。週明けに返答を待つ時間を無駄にしないためだ。

また、複数の案件を並行して抱えている場合は、それぞれの状況を整理し直す時間でもある。ある案件で得た知見を、守秘義務の範囲内で自分の中の一般的な方法論として抽象化する作業も、この時間にやることが多い。

なぜこの配分に落ち着いたか

最初からこの週間パターンを組んでいたわけではない。実装だけに集中する週を作っていた時期もあったが、それだと稟議や情シスの対応が後手に回り、結局その遅れが翌週以降の実装スケジュールを圧迫することを何度か経験した。技術的な作業を止めてでも、稟議・情シスといった技術外のタスクを週の早い段階で進めておいた方が、トータルでは前に進む速度が速い。この経験から、技術外のタスクを「隙間の時間で片付けるもの」ではなく、曜日単位で明示的に時間を確保するものに変えた。

まとめ

FDEの1週間は、実装の時間と、それ以外の時間がおおよそ半々になる印象がある。技術的な作業だけを見ると、一般的なエンジニアの仕事と大きくは変わらない。違うのは、稟議のための資料作り、情シスとのやり取り、意思決定者への翻訳作業が、「本来の仕事の外側にある雑務」ではなく、「成果を出すために不可欠な仕事」として組み込まれていることだ。

この配分は案件のフェーズによって変わるが、技術と技術外の両方に継続的に時間を割く、という基本の型はどの週でも変わらない。

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