マイクロ法人運用シリーズの続き。前回、「なぜ個人事業だけで続けずマイクロ法人を作ったのか」で法人化の意思決定プロセスを書いたが、今回はその一歩先、実際にどの事業を法人(Nogawa L.prince合同会社)に載せ、どれを個人事業のまま残したかという振り分けの中身を書く。

先に結論を書くと、私は複業4事業(storeforge=ドロップシッピング、aerial-earth-studio=空撮動画、afflow=SNSアフィリエイト、民泊)を一律に法人へ移したわけではない。事業の進捗段階と契約主体の性質を基準に、法人に載せた事業と個人のまま残した事業が混在している。全部法人化が正解ではなく、事業ごとに器を変えるという判断をした。

目次

振り分けの基準は「進捗段階」と「契約主体」

4事業を法人か個人かに振り分ける際、私が使った基準は2つだった。

1つ目は進捗段階だ。0→1検証中でまだ売上が立っていない、あるいは立ってもごく小規模な事業を、いきなり法人の会計に載せると、決算や記帳のコストだけが先に発生して見合わない。逆に、契約や取引の実態が発生している事業は、法人という器で扱った方が自然になる。

2つ目は契約主体の性質だ。取引先や貸主が「個人」ではなく「事業体」として相手にしたい性質の事業かどうかを見た。個人名での契約でも成立する事業と、法人格があった方がスムーズになる事業とでは、載せるべき器が変わってくる。

この2軸で見ていくと、4事業は自動的に「法人向き」「まだ個人のまま」の2グループに分かれた。

実際の振り分け結果

具体的な振り分けは次の通りだ。

  • 民泊: 法人に載せた。物件の賃貸借契約や運営に関わる各種契約で、事業体として相手にしたい場面が多く、進捗段階としても契約実態が発生していたため、法人向きの基準に合致した
  • storeforge(ドロップシッピング): 個人のまま。5万円上限で市場ニーズを検証しているフェーズで、まだ契約主体を法人にする必然性がない。検証がうまくいって仕入れ・販売の規模が拡大した段階で、法人化を再検討する対象にしている
  • aerial-earth-studio(空撮動画): 個人のまま。YouTubeチャンネル運営という性質上、収益化の主体は個人でも問題なく成立している。パイプライン構築が先で、事業体としての契約が発生する場面が今のところ薄い
  • afflow(SNSアフィリエイト): 個人のまま。発信活動が中心で、こちらも契約主体を法人にする必要性が今のところ薄い

結果として、4事業のうち法人に載せたのは民泊1つだけで、残り3つ(storeforge、aerial-earth-studio、afflow)は個人事業のまま複業として運用している。本業のFDEも個人事業のままだ。つまり法人(Nogawa L.prince合同会社)の中身は「本業の代わり」ではなく「民泊専業の器」に近い形になっている。

なぜ「進捗した事業から順に法人へ」にしなかったか

ここが今回一番書いておきたい点だ。単純に「売上が伸びた事業から法人へ移す」という発想もあり得たが、私はそれを採用しなかった。

理由は、法人に事業を載せる判断を売上規模だけですると、まだ検証段階の事業まで巻き込んでしまうリスクがあるからだ。storeforgeやafflowは、これから撤退もあり得る0→1検証の途中にある。検証途中の事業を法人の会計に混ぜてしまうと、撤退判断そのものが「法人の決算にどう影響するか」というノイズに引っ張られかねないと考えた。

一方で民泊は、契約という実態が先に発生した事業だった。売上規模うんぬんより先に、賃貸借契約や運営委託の相手が「個人ではなく事業体を求めている」という外部要因が明確にあったため、法人に載せる判断がしやすかった。

つまり私の場合、法人へ載せるかどうかを決めたのは「儲かっているかどうか」ではなく「契約の相手が事業体を求めているかどうか」だった。この基準は、あくまで自分の事業構成(本業1つ+複業4つ)における個別の判断であり、他の複業構成の人にそのまま当てはまるとは限らない。

法人と個人事業をまたぐ運用で気をつけていること

事業を法人と個人に分けて持つと、当然ながら管理は複雑になる。私が実務上気をつけているのは次の点だ。

  • 経費や口座を法人用・個人事業用で明確に分離し、混同しない(法人口座は民泊関連の入出金のみに絞っている)
  • 法人の役員報酬は月23,000円で固定し、個人事業側のキャッシュフローと二重管理にならないようにしている
  • storeforgeやafflowが検証段階を抜けて拡大フェーズに入った場合、その時点で改めて「法人に載せ替えるか」を再検討する運用にしている(今のところ載せ替えの予定はない)

この運用も、あくまで自分の事業規模と構成に合わせた実務記録であり、税務・法律上の一般的な正解を示すものではない。

まとめ

  • 複業4事業を法人へ一律移行したわけではなく、民泊だけを法人に載せ、storeforge・aerial-earth-studio・afflowは個人事業のまま残した
  • 振り分けの基準は「進捗段階(検証中か契約実態があるか)」と「契約主体の性質(事業体を求められるか)」の2つ
  • 売上規模ではなく契約の相手が事業体を求めているかどうかで載せる器を判断した
  • 法人と個人事業の口座・経費は明確に分離し、検証段階の事業が拡大したら都度載せ替えを再検討する運用にしている

次回は、法人(Nogawa L.prince合同会社)を実際に設立した際の具体的な手続きの流れについて書く予定だ。

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