「複業4事業もやっていて、振り返りなんて回せているんですか」と聞かれることがある。結論から書くと、私は振り返りを「記憶」に頼っていない。本業・複業4事業のタスクをすべてGitHubのissueに集約し、週1回、機械的にボードを眺めるだけで振り返りが完了する仕組みにしている。今回は、子2人を育てながらこの運用がなぜ回っているのかを具体的に書く。
目次
なぜ「振り返り」を頭の中でやろうとすると破綻するのか
子育てのすきま時間で複業を回していると、1つの事業に集中して考え続けられる時間がほぼない。10分の細切れ時間で作業をして、次に触れるのは翌日、下手をすれば数日後ということも珍しくない。
この状態で「今週何をやったか」「来週何をすべきか」を記憶ベースで振り返ろうとすると、まず間違いなく漏れる。しかも4事業+本業を並行しているので、「storeforgeで先週何をやったか」を思い出そうとしている間に別の事業のことが頭に割り込んでくる。振り返りのために振り返りができない状態に陥る。
だから私は、振り返りの土台を「覚えていること」ではなく「issueとして記録されていること」に置き換えた。記憶に頼らなければ、思い出す作業自体が不要になる。
issueへの一元管理という土台
すべてのタスクは、事業ごとのコードリポジトリではなく、lifeという個人管理用リポジトリのissueに集約している。事業ごとにラベルを分けて(storeforge、aerial-earth-studio、afflow、民泊、FDEなど)、GitHub Projectsのボードでステータス管理する形だ。
この一元管理には理由がある。事業ごとに別々のリポジトリでissueを管理すると、振り返りのたびに複数のリポジトリを開いて回る必要が出てくる。10〜15分のすきま時間でそれをやるのは現実的ではない。1つのボードを開けば全事業のタスクが見渡せる状態にしておくことで、振り返りにかかる「移動コスト」をゼロに近づけている。
もう1つの理由は、着手中のタスクをステータスに正確に反映させることだ。触っている最中のissueは必ず「In progress」に動かす。これを怠ると、週次でボードを見たときに「進んでいるのか止まっているのか」が判断できず、結局記憶に頼る羽目になる。ステータスの正確さは、振り返りの精度に直結する。
週次振り返りの実際の手順
週次の振り返りは、休日の早朝、子が起きる前の30〜45分に行っている(このタイミングの位置づけは以前の時間割の記事でも書いた通りだ)。手順は次の通りで、特別な準備は要らない。
- Projectsボードを事業ごとにフィルタし、Doneに入ったissueを確認する: 今週何が終わったかを1事業ずつ数十秒で確認する
- In progressのまま止まっているissueを洗い出す: 着手したのに動いていないタスクは、優先度が下がったのか、単に時間が取れなかっただけなのかをここで切り分ける
- Todoに積まれているissueの中から、来週着手するものを2〜3件だけ選ぶ: 全部やろうとしない。選ばなかったものはTodoに残したままにする
- ユーザー対応(自分自身の判断)が必要な事項をissueコメントに残す: 判断が必要な論点はコメントとして書き残し、平日のすきま時間に読み返せるようにする
このステップに30分もかからない。理由は単純で、判断材料がすべてissueとコメントという形で既に文字化されているからだ。振り返りの本体は「思い出す」作業ではなく「フィルタして眺める」作業に縮小されている。
4事業を並行しているからこそissue管理が効く
正直に言うと、事業が1つしかなければここまで厳密にissue管理をしていなかったと思う。1事業だけなら、多少記憶に頼っても破綻しない規模で収まる。
4事業+本業を並行しているからこそ、「記録されていない情報は存在しないのと同じ」という前提を徹底する必要が出てきた。逆に言えば、この前提を徹底したことで、事業数が増えても振り返りにかかる時間はほとんど増えていない。ボードを見る対象が増えるだけで、1事業あたりの確認時間は変わらないからだ。
すきま時間で複業を回す上でボトルネックになりやすいのは、実は「作業する時間」よりも「何をすべきか判断する時間」の方だと感じている。issueへの一元管理は、この判断コストを週1回のまとまった時間に集約し、平日のすきま時間からは判断作業を極力排除するための仕組みでもある。
まとめ
- 振り返りを記憶に頼ると、複数事業を並行するすきま時間運用ではほぼ確実に破綻する
- 全事業のタスクを1つのリポジトリのissueに一元管理し、ラベルとProjectsボードで事業を分けている
- 着手中は必ずIn progressに動かすなど、ステータスの正確さが振り返りの精度を決める
- 週次振り返りは「Done確認→止まっているissue洗い出し→来週分を2〜3件選ぶ→判断事項をコメントに残す」の4ステップで30分以内に終わる
次回は、この週次振り返りで洗い出した「来週どの事業にどれだけ時間を割くか」の優先順位づけの判断基準について書く。