「両立のコツは何ですか」と聞かれると答えに詰まる。両立は足し算ではなく引き算でしか成立しないからだ。本業のFDE、複業4事業(storeforge、aerial-earth-studio、afflow、民泊)、そして子育て。この全部を同じ熱量でやろうとした時期が私にもあったが、結果は全方位が中途半端になっただけだった。今回は、両立を成立させるために私が実際に諦めたこと、優先しなかったことを具体的に書く。抽象的な「取捨選択が大事」ではなく、何を捨て、その代わりに何を得たかを書く。

「全部の事業を毎日進める」を諦めた

複業4事業を始めた当初、私は「4事業すべてに毎日何かしら手を入れる」を目標にしていた。1つでも触らない日があると、その事業が止まっている気がして落ち着かなかったからだ。

だがこれは、子育てのすきま時間という制約の中では実現不可能な目標だった。1日に使える時間が限られている以上、4事業に均等に配分すると、どの事業も「タスクリストの一番上を1つ消化する」程度の浅い進捗しか出ない。深い意思決定が必要な局面(storeforgeの仕入れ判断、aerial-earth-studioの企画方針変更など)は、細切れの時間配分では絶対に着手できない。

今は「今週どの事業に重心を置くか」を週次で決め、他の事業は最低限の運用維持(予約確認や投稿予約など、判断を伴わない作業)だけに絞っている。毎日全事業に触れることは諦めたが、代わりに重心を置いた事業では意思決定を伴う進捗が出せるようになった。

「平日の夜の自由時間」を諦めた

複業を始める前、平日の夜、子が寝た後の1〜1.5時間は完全に自分の趣味や息抜きに使っていた。この時間を複業の「考える系」タスク(前回書いた時間割で言えば、腰を据えて設計や振り返りをする時間帯)に転用したことで、趣味の時間はほぼ消えた。

正直に書くと、この選択には今も迷いがある。息抜きの時間を削ることは、短期的な生産性を上げても、長期的な継続力を削る可能性がある。今のところは複業への意欲がその代償を上回っているから続けられているが、これは「両立のコツ」として一般化できるものではなく、あくまで今の自分の優先順位の結果に過ぎない。息抜きを一切諦めない両立の形も、当然あり得ると思う。

「すべての複業を法人化・体系化する」を後回しにした

マイクロ法人を設立したのは複業のうち一部の事業だけで、残りは個人事業のまま運用している。すべての事業を同じ水準で体系化する(法人化、経理の整備、業務フローのドキュメント化など)という発想もあったが、これも諦めた。

理由は単純で、体系化そのものに時間を使うと、事業を前に進める時間が減るからだ。私の場合は、ある程度の実績と継続性が見えた事業から順に体系化するという順番にした。まだ0→1のフェーズにある事業に体系化の労力をかけるのは、今の自分には時間対効果が合わないと判断している。この判断は事業のフェーズや自分のリソースによって変わるもので、他の人にそのまま当てはまるとは思っていない。

「完璧な下準備をしてから複業に着手する」を諦めた

エンジニア出身なので、本来は仕様を固めてから作り始めたい性分だ。だが複業においては、事前リサーチや計画に時間をかけすぎると、その間に子育てのすきま時間が終わってしまう。

今は「6割の情報で着手し、走りながら残り4割を埋める」ことを意識的に選んでいる。これは品質を諦めているわけではなく、「完璧な準備」という項目そのものを優先順位から外した、という話だ。実際、storeforgeでもaerial-earth-studioでも、着手前に固めきれなかった部分は着手後の実データで判断する方が早く、かつ精度も高かった。

まとめ

  • 「4事業すべてを毎日進める」を諦め、週次で重心を置く事業を決め、他は運用維持に絞った
  • 平日夜の自由時間を複業の思考系タスクに転用した。これは今の自分の優先順位の結果であり、一般化できる正解ではない
  • すべての事業を同じ水準で法人化・体系化することを後回しにし、実績が見えた事業から順に整備する方針にした
  • 「完璧な下準備をしてから着手する」を諦め、6割の情報で走り出す判断を意識的に選んでいる

次回は、こうして絞り込んだ時間配分を、子どもの体調不良など予定外の事態が起きたときにどう崩し、どう立て直しているかを書く。

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