複業と技術力を軸にFIREを目指すと決めてから、私は「余剰資金は複業の種銭に回す」という方針を疑わずに走ってきた。だが振り返ると、この方針を無条件に適用したせいで損をした判断が少なくとも2つある。今回はその失敗談を具体的に書く。結論を先に言うと、複業への再投資と資産形成用の積立を同じ財布で扱ったこと、そして「複業に全振り=機会損失ゼロ」だと錯覚していたことが、私の資産形成を遅らせた。

目次

失敗1: 積立の口座と複業の種銭口座を分けていなかった

複業を始めた当初、私は証券口座での積立と複業への投資資金を、明確に分けずに管理していた。毎月の余剰資金をまず全体で把握し、そこから「複業に使えそうな分」を都度判断して振り分けるやり方だ。

これがうまくいかなかった。複業側で「今このタイミングで機材や広告費に使いたい」という判断が発生するたびに、本来は積立に回すはずだった分を流用してしまう場面が何度かあった。積立は自動化していなかったので、判断のたびに「今月はどっちを優先するか」を自分で決める必要があり、複業側の判断が目の前の熱量に押されて優先されやすかった。

結果として、ある月の積立額を50万円相当見送り、複業側に回した。その複業自体は検証段階で、投資額に見合うリターンが出るかどうかはまだ分からない。仮にその事業が伸びなかった場合、積立を止めた分の機会損失は複業の失敗と二重で効いてくる。これが1つ目の失敗だ。

対処として、今は積立用の証券口座と複業運転資金用の口座を完全に分離し、積立分は給与・報酬が入った直後に自動振替する設定にしている。「余った分から積立する」から「積立した残りで複業を回す」に順序を逆転させただけだが、これだけで判断のたびに揺らぐ余地がなくなった。

失敗2: 「複業に全振り=機会損失ゼロ」だと錯覚していた

複業を並行運営していると聞くと「リスク分散になっていて堅実」と見られがちだが、私は資産形成の観点で言えば逆の錯覚をしていた時期がある。「時間もお金も複業に注いでいれば、それがそのまま将来のリターンになる」という思い込みだ。

複業4事業(storeforge、aerial-earth-studio、afflow、民泊)はどれもまだ検証段階で、投じた時間・資金がそのまま資産形成に変換される保証はない。それにもかかわらず、私は投資に回せたはずの資金や検討時間まで複業側の意思決定に吸われるのを、当然のコストとして受け入れていた。「複業は自分の技術力を使った投資だから、インデックス投資より期待値が高いはずだ」という根拠のない前提を置いていたのだと思う。

実際には、複業の中には検証コストだけがかさんで撤退に近い判断をした事業もあった(詳細な数字は複業ログ側の記事に譲る)。その間、同じ資金をインデックス投資に回していたらどうだったかを試算すると、150万円規模の差が出ていた可能性がある。もちろんこれは「たられば」の試算であり、複業側で得たスキルや横展開の資産価値は数字に表れない部分もある。それでも、複業への投資を「無条件に優先すべき投資」として扱っていたこと自体が判断の誤りだったと今は考えている。

判断材料にしているチェックリスト

この2つの失敗を踏まえて、今は複業への追加投資を判断する前に、自分の中で次の4点を確認するようにしている。

  1. 積立を止めていないか: その月の積立を減らしてまで複業に回そうとしていないか。積立額を動かす判断は複業側の判断と切り離して行う
  2. 検証コストの上限を決めているか: 「いくらまで検証してダメなら撤退するか」を投資前に数字で決めているか(storeforge事業では上限5万円としている)
  3. 期待値を言語化しているか: 「複業だから期待値が高い」という感覚ではなく、その事業固有の根拠(既存スキルの転用可否、市場規模、検証済みの需要)を言葉にできているか
  4. 同額を積立に回した場合と比較したか: 判断が割れたときは、同じ金額をインデックス投資に回した場合の期待値と、感覚だけでなく一度比較する

このチェックリストを通しても、自分の場合は複業側に投資するという結論に至ることが多いし、実際に今もそうしている。重要なのは「複業を優先する」という結論そのものではなく、その結論を都度言語化して選び直しているかどうかだと考えている。

まとめ

  • 積立口座と複業の運転資金口座を分けていなかったせいで、積立を都度流用してしまい機会損失が生じた
  • 「複業への投資は期待値が高いはず」という根拠のない前提で、資産形成の選択肢を無条件に後回しにしていた
  • 対処として積立を自動振替に変え、複業への追加投資は積立確保後の資金からのみ判断するようにした
  • 複業を優先する判断自体は今も多いが、その都度「積立を止めていないか」「期待値を言語化できているか」を確認する運用に変えた

次回は、この運用に変えてから資産形成側の進捗がどう変わったかを具体的な数字とともに記録する。

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