FIREの計算式は、支出を資産からの取り崩し(配当・利回り)でどこまで賄えるかで組むのが基本形だ。だが私の場合、収入源は資産運用だけではない。複業4事業からの収入がある。この収入をFIRE計算にどう位置づけるかで、私は一度考え方を整理し直した経緯がある。今回はその整理の過程を書く。結論を先に言うと、私は複業収入を「不労所得」としては一切カウントせず、かといって「労働収入」として本業と同列にも扱わない。その間に「準不労所得」という第三の区分を自分の中に作り、FIRE計算からは原則除外している。
目次
なぜ複業収入を不労所得に入れなかったか
FIRE界隈でよく使われる整理は、収入を「資産所得(不労所得)」と「労働所得」の2つに分けるやり方だ。この2分法に自分の複業収入を当てはめようとしたとき、私はどちらにもうまく収まらないことに気づいた。
storeforge(ドロップシッピング)もaerial-earth-studio(空撮動画YouTube)もafflow(SNSアフィリ)も民泊も、立ち上げ期には毎週の作業が発生している。ここだけ見ると労働所得に見える。しかし本業のクライアントワークのように「稼働時間×単価」で収入が決まっているわけではなく、仕組みを作った後は稼働をゼロに近づけても収入が残る設計を狙っている。この「今は労働寄りだが、将来は資産寄りに近づく」という時間軸の変化が、静的な2分法では表現できなかった。
不労所得に入れなかった一番の理由はもっとシンプルだ。今の複業4事業は、どれもまだ「これ一本で食っていく」規模に達していない道半ばの段階にある。収益が安定して継続する保証がない収入を、株式配当のような再現性の高い不労所得と同じ箱に入れてFIRE計算をすると、達成に必要な資産額を過小評価してしまう。これは自分にとって一番避けたい間違いだった。
「準不労所得」という第三の区分
そこで私が自分の中で作ったのが「準不労所得」という区分だ。定義は次の3条件を満たす収入としている。
- 稼働時間と収入額が比例していない(時給換算では説明できない仕組みが間に入っている)
- 仕組み構築後の追加稼働が、収入を生んだ初期稼働より小さい(積み上げ型で、同じ作業を繰り返さなくても収入が残る余地がある)
- 収益の継続性が、資産運用の配当・利回りほど高くない(市場環境や競合状況で収入がゼロに近づくリスクが、株式配当より明確に高い)
複業4事業のうち、aerial-earth-studioとafflowはこの3条件に当てはまる。動画やコンテンツという資産を積み上げる型で、公開後の追加稼働は初期制作より小さくなる設計だからだ。一方でstoreforgeは現時点でまだ検証フェーズにあり、民泊も稼働の比重が高い段階なので、準不労所得というより労働所得に近いと自分では評価している。
この区分をFIRE計算にどう反映しているかというと、私は準不労所得を計算の分子(生活費を賄う収入)には一切加えていない。理由は単純で、まだ収益の継続性を自分自身が信頼しきれていないからだ。仮に将来、収益が6ヶ月以上安定して継続した実績ができた段階で初めて、資産からの取り崩し額を補完する扱いに格上げすることを検討する、というのが現時点でのルールにしている。
FIRE計算から複業収入を除外する具体的な線引き
抽象的な区分だけでは実務で使えないので、私は自分の家計簿・資産管理シートの中で次のような線引きをしている。あくまで自分の場合の運用ルールであり、他の人に当てはめられる基準ではない点は強調しておきたい。
- FIRE達成に必要な資産額の計算には、本業FDEの収入と複業収入を一切含めない。資産からの取り崩しだけで生活費を賄える金額を目標資産額とする、保守的な計算式を使っている
- 複業収入は「達成を早める変数」としてのみ扱う。目標資産額そのものは動かさず、複業収入があることで毎月の追加投資額を増やせる、というシミュレーション上の役割に限定している
- 準不労所得が労働収入に頼らず6ヶ月連続で一定額を超えたら再評価する、という自分なりのトリガー条件を設けている。この期間はまだ到達していないため、現時点では格上げの判断はしていない
- 家計簿はリベ大式4象限で再設計した運用をベースにしており、複業収入は「消費」でも「浪費」でもなく「投資」の原資に回す枠として扱っている
この線引きをしている理由は、複業収入をFIRE計算に早々に組み込んでしまうと、その収入が途絶えたときに計算全体が崩れるリスクがあるからだ。子育てのすきま時間で運営している複業は、本業や家庭の事情でリソース配分が変わればすぐに稼働が落ちる。だからこそ、資産からの取り崩しだけで完結する計算を土台に置き、複業収入はあくまで「早く到達するためのブースト」として扱うようにしている。
まとめ
- 複業収入は「不労所得」でも「労働所得」でもなく、自分の中では「準不労所得」という第三の区分で扱っている
- 準不労所得の条件は、稼働と収入が比例しないこと・追加稼働が初期稼働より小さいこと・継続性が配当ほど高くないことの3点
- FIRE計算の目標資産額には複業収入を含めず、資産からの取り崩しだけで完結する保守的な計算を土台にしている
- 複業収入は目標資産額を動かす変数ではなく、達成までの期間を早める「ブースト」としてのみシミュレーションに使っている
次回は、この計算の土台となる資産形成の進捗を、具体的な数字とともに記録していく。