複業を始める前の合意の取り方については以前書いた(時間・お金・リスクを分けて話す、という内容だ)。今回はその先、実際に事業を回しながら「今何をやっているか」をどう説明し続け、家族から具体的な協力をどう引き出しているかを書く。結論から言うと、私は複業の中身を家族に理解してもらうことをあきらめている。理解ではなく、「今どのフェーズにいるか」と「今週何を手伝ってほしいか」の2つだけを毎回伝えるようにしたら、協力が得られる場面が明確に増えた。

事業の中身を説明するのをやめた理由

storeforgeやafflowを始めた頃、私はパートナーに事業内容を丁寧に説明しようとしていた。ドロップシッピングの仕組み、SNSアフィリの収益構造、なぜこの事業をやるのか。話す側は整理になるが、聞く側にとっては本業でも複業でもない話を細部まで理解する動機がない。案の定、説明した内容はほとんど記憶に残らず、次に話すときにまた一から説明することになった。

これを何度か繰り返して気づいたのは、パートナーが本当に知りたいのは事業の仕組みではなく、「今それは順調なのか、大変な時期なのか」「今週の生活にどう影響するのか」の2点だけだということだ。事業内容の説明は、極端に言えば聞き流されても支障がない。むしろ支障が出るのは、この2点が伝わっていないときだった。

「フェーズ」だけを共有する

今は事業の中身ではなく、フェーズを短い言葉で共有するようにしている。私が使っているのはだいたい次の3段階だ。

  • 仕込み期: 新しいことを試している段階。うまくいくかわからないので、時間はかかるが生活への影響は小さい
  • 踏ん張り期: 結果が出るかどうかの山場。この期間だけ夜のまとまった時間を通常より多く使うことがある、とあらかじめ言っておく
  • 巡航期: 仕組みが回り始めて、日々の手離れが良くなった段階。むしろ家族の時間に回せる余力が増える

事業名や作業内容を説明する代わりに、「今storeforgeは踏ん張り期」とだけ伝える。パートナーはドロップシッピングの中身を知らなくても、「踏ん張り期=今週は夜の時間が普段より削られるかもしれない」という一点だけを理解していれば、生活の見通しが立つ。フェーズという共通言語を用意したことで、事業が4つに増えても説明にかかる時間はむしろ短くなった。

協力を「お願い」ではなく「選択肢」として渡す

説明の次に効いたのが、協力の求め方を変えたことだ。以前は「今週忙しいから助けてほしい」という漠然とした頼み方をしていた。これはパートラーからすると何をどれだけ手伝えばいいのか判断できず、結局「察してもらう」形になり、双方にストレスが残った。

今は週の頭に、具体的な選択肢を2〜3個出す形にしている。

  1. 「今週、木曜の夜だけ子の寝かしつけを代わってもらえると、踏ん張り期の作業がだいぶ進む」
  2. 「土曜の午前、1時間だけ外に連れ出してもらえると来週の準備ができる」
  3. 「特に何もいらない週」

このとき大事にしているのは、選択肢に「特に何もいらない」を必ず含めることだ。毎週何かを頼むと、頼むこと自体が既定路線化し、パートナーの負担感が積み上がる。何もいらない週を選択肢として明示することで、頼む週の重みがきちんと伝わるようになった。

子どもへの説明は「見えている形」に合わせる

家族との合意形成には、パートナーだけでなく子どもも含まれる。未就学児と小学生の子には、事業の説明はほぼ意味をなさない。効果があったのは、パソコンに向かっている時間を抽象的な「お仕事」ではなく、子どもが日常で見ている行動に紐づけて説明することだった。

具体的には、「今は空から撮った野球の動画を編集している」「今日は猫の道具を売るお店の準備をしている」というように、子どもがすでに知っているもの(YouTube、お店、動物)に接続して話す。中身を理解させることが目的ではなく、「パパは何か訳のわからないことをしている」ではなく「パパは何をしているか一応知っている」という感覚を子どもに持たせることが目的だ。この感覚があると、作業中に話しかけられて中断する頻度が体感で減った。

説明と協力依頼はセットで、単独では機能しない

ここまで説明と協力依頼を分けて書いたが、実際にはこの2つはセットで機能する。フェーズだけ伝えて協力の選択肢を出さないと、パートナーは「大変らしいけど何をすればいいかわからない」状態のままになる。逆に説明抜きで協力だけ求めると、「なぜ今週だけ特別扱いなのか」という疑問が残り、協力が一回限りの譲歩になってしまう。

フェーズの共有が「なぜ今頼むのか」の根拠になり、選択肢の提示が「具体的に何をすればいいか」の答えになる。この2つが揃って初めて、パートナーは納得した上で協力を選べる状態になる。

まとめ

  • 事業の中身を細かく説明することはあきらめ、「仕込み期・踏ん張り期・巡航期」という3段階のフェーズだけを共有している
  • 協力は漠然と「助けて」と頼むのではなく、週の頭に具体的な選択肢を2〜3個出し、「特に何もいらない」も選択肢に含める
  • 子どもへの説明は事業内容ではなく、子どもがすでに知っているもの(YouTube、お店など)に紐づけて伝える
  • フェーズの共有(なぜ頼むか)と選択肢の提示(何を頼むか)はセットでなければ機能しない

次回は、複業が増える中で夫婦間の役割分担が実際にどう変化してきたかを書く。

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