AIツールを使うようになって一番変わったのは、作業のスピードではなく「使える時間の総量」の感覚だ。子育て中に確保できるすきま時間は物理的に増えないが、1つの作業にかかる時間を圧縮できれば、同じすきま時間でも「もう1つ何かできる」余白が生まれる。この余白は、複業の進捗だけでなく、子との時間や自分の休息にも回せる。今回は、AIツールを使うことで実際にどこに時間的余裕が生まれ、その余裕を何に使っているかを具体的に書く。

「時間が増える」のではなく「余白が生まれる」

前提として誤解しておきたくないのは、AIツールを使っても1日の可処分時間そのものは1分も増えないということだ。子2人を育てながら本業と複業4事業を回している以上、1日の時間割はすでにほぼ埋まっている。以前の記事(時間割の作り方)で書いた通り、朝の身支度の合間、子が学童や園にいる間の隙間、子が寝た後の1〜1.5時間——使える枠は決まっている。

AIツールが変えたのは、その決まった枠の中で「1つのタスクを終えるのにかかる時間」だ。以前は30分かかっていた作業が15分で終われば、残りの15分は別のタスクに使うことも、そのまま切り上げて休むこともできる。この「浮いた15分をどう使うか選べる」状態こそが、私にとっての時間的余裕だ。時間の総量ではなく、選択の自由度が増えたと言った方が正確だと思う。

実際に余裕が生まれた3つの場面

抽象論で終わらせないために、実際に余裕が生まれたと感じる場面を3つ挙げる。

  • 夜のまとまった時間の「余り」が生まれた: 子が寝た後の1〜1.5時間は、以前は複業のタスク1件を終えるのでほぼ使い切っていた。リサーチの一次整理やコードの雛形作成をAIに任せるようになってから、同じタスクが40〜50分程度で終わることが増え、残りの時間で翌日の段取りを軽く整理する、あるいは何もせず早めに寝る、という選択ができるようになった。この「余り時間をどう使うか自分で決められる」感覚が、以前の「時間ぎりぎりまで詰めて終わる」状態とは大きく違う
  • すきま時間で「1周」が完結するようになった: 30分程度の隙間で、調べる→整理する→次のアクションを決める、という一連の流れが完結するようになった。以前はこの1周に1〜2時間かかっていたため、平日の細切れ時間では「調べるだけ」「整理するだけ」で毎回中断していた。1周が完結すると、その後の隙間時間を別の判断に使えるようになる。これは時間の節約というより、細切れ時間の「使い道の幅」が広がった感覚に近い
  • 休日の早朝タイムに余裕を持って臨めるようになった: 週次で事業ごとの進捗を見直す休日早朝の時間は、以前は前週の記録を見返して現状を整理するだけで半分近くを使っていた。日々のログや振り返りメモの整理にAIツールを使うようになってからは、現状把握にかかる時間が短縮され、実際に「来週どこに時間を配分するか」という判断そのものに使える時間が増えた

生まれた余裕を何に使っているか

浮いた時間の使い道は、複業に再投資する場合と、複業から完全に切り離す場合の2通りに分けている。

複業に再投資するのは、判断や検証など「AIに渡せない部分」だ。雛形作成で浮いた時間を、コードの妥当性チェックや仕上げの作業に回す、といった具合だ。ここは前回の記事(複業の中でAIツールが一番効いた作業ベスト3)で書いた「AIに渡せるのは助走部分まで」という線引きと表裏の関係にある。助走が縮んだ分、判断と検証にかける時間を増やせている。

もう一方で、意識して複業に再投資しないと決めている時間もある。子が寝た後の「余り時間」を毎回複業に使い切っていたら、結局は総作業時間が増えるだけで、余裕が生まれた意味がない。浮いた時間の一部は、あえて何もしない、あるいは早めに休むことに使う。これは休日を家族の時間に明確に振り分けている考え方(以前の記事参照)と同じで、時間が浮いたからといって、その枠を無条件に別の作業で埋めないようにしている。

余裕を過信しないための線引き

一つ注意しているのは、「AIで時間が浮いたのだから、もっと多くのタスクをこなせるはずだ」という発想に流れないことだ。浮いた時間で新しいタスクを次々に詰め込むと、結局は以前と同じように時間に追われる状態に戻ってしまう。

具体的には、浮いた時間の使い道を決める際に「これは判断・検証が必要な作業か」「単に手が空いたから何となく着手する作業か」を自分に問うようにしている。後者であれば、着手せずにその日は切り上げる。AIツールで生まれた余裕は、タスクの量を増やすためではなく、1つ1つの作業にかける時間の質を上げるため、あるいは家庭側に還元するために使う——この優先順位を崩さないことが、子育て中に複業を続けるうえでの前提になっていると感じる。

まとめ

  • AIツールは可処分時間の総量を増やすのではなく、決まった時間枠の中に「使い道を選べる余白」を生む
  • 夜のまとまった時間に余りが生まれ、すきま時間で調査から次のアクション決定までの1周が完結するようになり、休日の週次振り返りも現状把握が短縮された
  • 浮いた時間は、複業の判断・検証への再投資と、あえて何もしない・休息に回す時間の2通りに分けている
  • 浮いた時間を無条件に新しいタスクで埋めないよう、「判断・検証が要る作業か」を自分に問う線引きを持っている

次回は、この時間的余裕を踏まえて、複業4事業の優先順位づけをどう見直しているかを書く。

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