「土日も複業やってるんですか」と聞かれると、私はいつも「土日は基本的に家族の日にしている」と答えている。意外に思われることが多いが、結論はシンプルだ。土日にまとまった作業時間を確保することを前提にしないからこそ、平日の設計に本気になれる。複業が進んでいるのは土日を頑張っているからではなく、土日をあてにしない前提で平日を組んでいるからだ。今回はその考え方と、実際にどう土日を扱っているかを書く。
目次
なぜ「土日に取り返す」を前提にしないのか
複業を始めた当初、私も「平日にできなかった分は土日にまとめてやろう」と考えていた時期がある。すぐに破綻した。理由は2つある。
1つ目は、土日は子どもと過ごす時間の絶対量が平日より多く、しかも予定が読みにくいことだ。平日は送迎や本業の稼働時間である程度スケジュールが固定されているが、土日は子の体調や機嫌、家族の予定によって自由に使える時間が大きく変動する。「土日の午後2時間は複業に使う」と決めておいても、当日になって使えないことが普通に起こる。
2つ目は、「土日に取り返せる」という前提を持った瞬間、平日の時間の使い方が緩むことだ。平日のすきま時間で終わらせるべきタスクを「まあ土日にまとめてやればいいか」と先送りしてしまう。これをやると、土日に予定通り時間が取れなかった場合にタスクが雪だるま式に積み上がり、結局どこかにしわ寄せが行く。しわ寄せが行く先は大抵、家族との時間か、本業の集中力のどちらかだった。
この失敗を経て、土日は複業の時間として最初から計算に入れないことに決めた。
土日を「家族の日」と決めてからの平日の変化
土日をあてにしないと決めた結果、平日の時間割に対する姿勢が明確に変わった。以前書いた時間割の記事でも触れた通り、私は曜日単位ではなく時間帯単位で作業の質を割り振っているが、この考え方が定着したのは「土日に逃げ場がない」という制約があったからだ。
具体的には次のような変化があった。
- 平日のすきま時間を取りこぼすことへの危機感が上がった: 「今日やれなかったことは土日で」という選択肢を自分から消したので、朝の10分、夜のまとまった時間を使い切ろうとする意識が強くなった
- タスクの優先順位づけが早くなった: 1週間で使える複業時間が事実上「平日のみ」に固定されるので、今週どの事業のどのタスクをやるかを早い段階で決めるようになった
- 「間に合わなかったタスク」を翌週に正直に繰り越す運用になった: 土日で無理に帳尻を合わせようとしないので、進捗が遅れている事業がある場合はそれを翌週の配分にそのまま反映する。誤魔化しがきかない分、事業ごとの実際のペースが可視化されやすい
土日を空けると決めたことで、平日の密度が上がったというのが実感に近い。
土日にまったく複業をやらないわけではない
とはいえ、土日を100%複業から切り離しているわけではない。実際にやっているのは次の2つに限定している。
- 早朝、子が起きる前の30〜45分: これは複業の作業時間というより、1週間の振り返りと翌週の配分を決める時間に充てている。事業ごとの進捗を横断的に見て、来週どこにどれだけ時間を使うかを決める、いわば週次の司令塔タイムだ。作業ではなく判断の時間なので、家族の時間を削っている感覚はない
- 子の昼寝や、きょうだいで遊んでいて手が空いた数分〜十数分: これは予定として確保しているわけではなく、たまたま発生した隙間を使っているだけだ。発生を前提にタスクを組んでいないので、使えなくても何も困らない
この2つに共通しているのは、どちらも「土日にこの時間を確保する」という約束を家族や自分自身にしていない点だ。早朝は家族が起きる前なので誰にも影響しないし、隙間時間は発生ベースで、なければないで良いという前提で扱っている。「土日の何時から何時まで複業をする」という予定は一切組まない、というのが実務上のルールになっている。
それでも進んでいると言える理由
土日をほぼ使わずに複業4事業を並行していると話すと、「それで本当に進むのか」と聞かれることがある。進み方が遅いのは事実だ。ただ、進み方が遅いことと、進んでいないことはイコールではない。
平日のすきま時間だけでも、1週間を単位で見れば一定の作業量は積み上がる。土日を計算に入れていない分、見積もりが保守的になり、結果として「今週やると決めたことはやり切れる」状態を保ちやすい。逆に土日をあてにした見積もりをしていた時期は、土日に予定通り進まないたびに計画全体が崩れ、家族との時間にも複業にも中途半端に手を出す状態になっていた。
家族の時間を確保するために土日を空けているのではなく、土日を空けると決めたことで平日の見積もりが正直になり、結果として両方が回るようになった、というのが実態に近い。
まとめ
- 土日を複業の「取り返し時間」として計算に入れると、平日の時間の使い方が緩み、結局どこかにしわ寄せが行く
- 土日を家族の日と決めたことで、平日のすきま時間を取りこぼさない意識と、早めの優先順位づけが定着した
- 土日にやっているのは早朝の週次振り返り(判断の時間)と、発生ベースの隙間時間の活用のみで、予定としての作業時間は確保しない
- 進み方は遅くても、見積もりが正直になった分、家族の時間と複業の両方が崩れずに回っている
次回は、この平日中心の運用の中で、事業ごとの優先順位を毎週どう見直しているかを具体的に書く。