「複数事業を並行するか、1つに絞るか」は、複業を始めた人なら一度は迷う問いだと思う。私は以前の記事で「1本足打法をやめた理由」を書いたが、今回はその逆の視点、つまり「並行のままでいい事業」と「一時的に集中すべきだった事業」を実際にどう見分けているかを書く。結論から言うと、私は事業単位で「集中か並行か」を固定していない。事業ごとのフェーズを見て、都度スイッチを切り替えている。
目次
「並行が正解」だった時期の落とし穴
複業4事業(storeforge・aerial-earth-studio・afflow・民泊)を並行運営していると書くと、常に均等に時間を配分していると思われがちだが、実際はそうではない。
私が最初につまずいたのは、市場調査フェーズにあるstoreforgeと、パイプライン構築が佳境だったaerial-earth-studioに、同じ比重で毎週時間を割り振っていた時期だ。市場調査は「考える」作業が中心で、細切れの時間でも一定の質を保てる。一方でパイプライン構築は、一度作業を中断すると再度設定やコードの文脈を思い出すコストが発生し、細切れ時間では逆に生産性が落ちる。
同じ「並行」という言葉でも、事業ごとに向いている時間の粒度が違う。これを無視して機械的に均等配分していた時期は、パイプライン構築が何週間経っても完成に近づかず、市場調査も中途半端という、両方が停滞する状態に陥った。
判断基準にしている3つの軸
この経験から、私は「その事業を今、並行のままにするか、一時的に集中させるか」を判断するときに、次の3つを見るようにしている。
- 中断コストの高さ: 作業を中断・再開したときに、文脈を思い出すコストがどれくらいかかるか。市場調査やコンテンツの単純投稿作業は中断コストが低く並行向き。パイプライン構築や複雑な実装は中断コストが高く、まとまった時間を集中的に投じたほうが早く終わる
- 「動くものが1つできるまで」の距離: 検証段階でまだ何も動くものがない事業は、最初の1つを作り切るまで一時的に集中投資したほうが、その後の並行運用がしやすくなる。逆にすでに型ができている事業は、細切れ時間での並行運用に戻せる
- 止めたときの機会損失: その事業を一時的に止めても、大きく後退しないかどうか。民泊のように検証段階でまだ動いていないものは、数週間止めても機会損失が小さい。一方で配信を続けているaerial-earth-studioやafflowは、止めると積み上げていた露出や信頼が目減りする
3つとも「高い」と出た事業は、一時的に他の事業への配分を絞ってでも、その事業に連続したまとまった時間を投じる。逆に3つとも「低い」事業は、細切れ時間に淡々と割り振る並行運用のままにしている。
実際にやった「一時集中」の例
aerial-earth-studioの動画生成パイプラインを構築していたときは、この判断基準に従って、他の複業事業への時間配分を一時的に絞った。具体的には、子が寝た後のまとまった時間をほぼすべてパイプライン構築に充て、storeforgeとafflowは週1回の最低限のメンテナンス作業だけに縮小した。
このとき意識したのは、「絞る」であって「止める」ではないという線引きだ。完全に手を止めてしまうと、再開時のキャッチアップコストがかえって増える。storeforgeなら受注確認だけ、afflowなら予約投稿の消化だけというように、最低限の生存ラインだけは維持しながら、空いた時間を1つの事業に寄せた。
パイプラインが一定の形になり、中断コストが下がった時点で、元の並行配分に戻した。一時集中は「その事業がずっと集中モードであり続ける」ことを意味しない。むしろ「並行に戻すための助走期間」として使っている。
まとめ
- 事業単位で「集中か並行か」を固定せず、事業のフェーズを見て都度切り替えている
- 判断基準は「中断コストの高さ」「動くものが1つできるまでの距離」「止めたときの機会損失」の3つ
- 3つとも高い事業は一時的に他の配分を絞って集中投資し、低い事業は並行運用のまま細切れ時間に割り振る
- 一時集中の間も他事業を完全には止めず、最低限の生存ラインだけ維持して再開コストを抑えている
次回は、この判断基準を支える「事業ごとの進捗をどう可視化しているか」について書く。