副業があって確定申告をする人は、ふるさと納税の控除も確定申告で受けることになります。私は複業と個人事業の所得があるので毎年確定申告をしていて、ふるさと納税の分はe-Taxでマイナポータル連携を使い、自動で入れています。

この記事では、確定申告でふるさと納税を入れる手順と、知らないと控除が減る落とし穴(ワンストップ特例が無効になる条件、20万円以下の副業の扱い、住民税の欄)を、国税庁と地方税法の原文で整理します。

この記事の結論(先に3点)

  1. 確定申告をすると、ワンストップ特例の申請はなかったことになる: ワンストップ特例を申請した寄付も含めて、その年のふるさと納税を全部、確定申告の寄附金控除に入れます。
  2. 20万円以下の副業も、申告するなら含める: 「副業が20万円以下なら確定申告は要らない」は、申告しなくてよい場合の話です。ふるさと納税のために確定申告をするなら、その副業の所得も申告に入れます。
  3. 寄付の証明書はマイナポータル連携で自動で入れられる: ふるさと納税サイトが出す「寄附金控除に関する証明書」を使えば、寄付を1件ずつ打ち込まなくて済みます。私は複数のサイトで寄付していますが、連携で全部が自動で入りました。

この記事の前提

  • 制度の記述は、2026年10月19日に確認した国税庁・e-Tax・マイナポータルの案内と、e-Govの法令(所得税法・地方税法)にもとづきます。令和8年分(2027年に行う申告)の画面は、まだ公開されていない部分があります。
  • 控除の上限額の計算は扱いません。上限はふるさと納税の限度額シミュレーションの計算方法にまとめています。

確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になる

会社員がふるさと納税をすると、確定申告をせずに済む「ワンストップ特例」を使うことが多いと思います。ところが、副業があって確定申告をする人は、この特例が使えなくなります。

国税庁のタックスアンサー(No.1155)は、**「確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります」**と案内しています。

根拠は地方税法附則第7条第13項です。ワンストップ特例の申請(法律では「申告特例の求め」)は、次のどれかに当たると「なかつたものとみなす」と定められています。

号 無効になる場合
第1号 その年分の所得税について、確定申告が要らない人の規定(所得税法第121条)の適用を受けないことになった(確定申告をした)とき
第2号 住民税の申告書を出したとき
第3号 申請した寄付先(自治体)の数が5を超えたとき
第4号 申請後に住所が変わったのに、翌年1月10日までに変更の届出を出さず、申請書の住所の市町村と、1月1日に住んでいる市町村が違ったとき

副業で確定申告をする人は第1号に当たります。ワンストップ特例の申請書を自治体に出していても、その寄付を確定申告に書かなければ、控除が受けられないままになります。書き忘れたときは、更正の請求で寄附金控除を受けられます(国税庁No.1155)。ただし、寄附金控除を入れても所得税の額が変わらない場合は更正の請求ができないため、住んでいる市区町村に相談します。年末調整との関係はふるさと納税は年末調整で控除できる?に書きました。

20万円以下の副業も、確定申告をするなら含める

副業の所得が20万円以下の会社員は、所得税の確定申告をしなくてよい場合があります。ただ、これは申告しなくてよい場合の決まりです。

国税庁の質疑応答(No.1900)は、ふるさと納税などで確定申告をする場合について、**「確定申告を行う場合にも、この20万円以下の所得を申告しなくてもよいという規定ではありません」**と答えています。ふるさと納税の控除のために確定申告をするなら、20万円以下の副業の所得も申告に入れます。

住民税には、もともと20万円の区切りがありません。この点は副業の確定申告はいくらから必要かと副業が20万円以下のときの住民税の申告のやり方にまとめています。

e-Taxでふるさと納税を入れる手順

確定申告書等作成コーナー(e-Tax)では、「所得控除の入力」(または「所得・控除の入力」)の画面にある「寄附金控除・政党等寄附金等特別控除」から入れます。寄付ごとに入れる方法と、まとめて入れる方法があります。

入れ方 使う書類 手間
寄付ごとに入れる 自治体が出す「寄附金受領証明書」 寄付1件ずつ、日付・金額などを打ち込む
まとめて入れる ふるさと納税サイト(国税庁長官が指定した特定事業者)が出す「寄附金控除に関する証明書」 1年分の寄付が載った証明書のデータを取り込む

国税庁は、2021年分(令和3年分)の確定申告から、自治体ごとの受領証明書の代わりに、サイトが出す「寄附金控除に関する証明書」を使えると案内しています。作成コーナーでは、この証明書のデータを取り込めば、寄付を1件ずつ入れる必要がありません。

マイナポータル連携で自動で入れる

証明書のデータは、マイナポータル連携で取り込めます。私はこの方法で入れています。

  1. 事前の準備(マイナポータル): マイナポータルの「確定申告の事前準備」で、取り込みたい証明書と発行サイトを選びます。マイナポータルと民間送達サービスを連携し、さらに民間送達サービスと、ふるさと納税サイトのアカウントを連携します。
  2. 対応しているサイトを確かめる: 国税庁の「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」の、ポータルサイトを運営する特定事業者の欄で確かめます。対応していないサイトの分は、受領証明書を見て手で入れます。
  3. 作成コーナーで取り込む: 確定申告書等作成コーナーでマイナポータル連携を選ぶと、寄附金控除に証明書の内容が自動で入ります。

私は複数のサイトで寄付していますが、マイナポータル連携で全部の寄付が自動で入りました。連携の設定さえ済ませておけば、ふるさと納税の分で困ったことは特にありません。

ただし、連携は一度設定すれば終わりとは限りません。国税庁の一覧には、楽天ふるさと納税の民間送達サービスが2025年1月から変わり、それまでに連携していた人は連携をやり直すよう求める注意書きがあります。申告の前に、使ったサイトの欄の注意書きを確かめておきます。ほかの控除や源泉徴収票の自動入力も含めた全体の流れは、副業の確定申告のやり方、e-Tax(スマホ・作成コーナー)にまとめています。

住民税の欄にも、ふるさと納税の額を書く

確定申告書を出せば、データが税務署から自治体に送られるので、住民税の申告を別に出す必要はありません。ただし、住民税で所得税と異なる控除などを受けようとする場合は、別に住民税の申告が要ることがあります(国税庁の確定申告Q&A、Q9)。

ただし国税庁は、ふるさと納税を確定申告で入れるとき、第二表の「寄附金控除に関する事項」に寄付先と金額を書くとともに、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄にも、ふるさと納税の額を必ず書くよう案内しています。この欄が空だと、住民税の控除が正しく反映されないおそれがあります。作成コーナーで入れた場合も、提出前に第二表のこの欄を確かめておくと安心です。

寄附金控除の計算と、期限

所得税の寄附金控除は、所得税法第78条で計算が決まっています。

寄附金控除額 =(その年の寄付の合計 と 総所得金額等の40% の、どちらか低い方)− 2,000円

住民税の控除(基本分と特例分)は別の計算で、ふるさと納税の多くは住民税から引かれます。上限の考え方は副業・個人事業主のふるさと納税はいくらまでかに書きました。

項目 内容
確定申告の期限 原則として翌年3月15日。令和8年分は2027年(令和9年)3月15日(月)
期限が土日・祝日のとき その翌日が期限
還付申告だけの人 翌年1月1日から5年間出せる(ただし、青色申告特別控除など期限内の申告が要件の特例を使う場合は、期限までに出す)

副業で確定申告が必要な人は、還付申告の5年の決まりではなく、3月15日の期限で申告します。

確定申告の前のチェックリスト

参考資料

いずれも2026年10月19日に確認しました。

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