マイクロ法人の決算を初めて経験して、何につまずいたか。Nogawa L.prince合同会社(2021年設立、3月決算)の1期目、2022年3月期の決算を終えたときの記録だ(法人は今6期目に入っている)。結論から書くと、決算自体は大きなトラブルなく着地したが、決算の過程で「個人事業とマイクロ法人の線引きが甘かった箇所」がいくつも表面化した。今回は、1期目を終えて見えた反省点と、2期目にどう運用を変えるかを記録する。
決算で初めて可視化された「二刀流の歪み」
法人を設立した時点で、本業(FDE)は個人事業に残し、複業の一部を法人に持たせるという役割分担は決めていた。だが実際に1年動かしてみると、期中は気づかなかった歪みが決算の集計段階でまとめて出てきた。
一番大きかったのは、経費区分の揺れだ。個人事業と法人の両方で使うツール(クラウドサービス、一部の通信費など)を、期の途中で「どちらの経費として計上するか」を都度その場の判断で決めていた結果、同じ性質の支出が月によって個人側と法人側にバラバラに計上されていた。決算時にまとめて見返して初めて、この一貫性のなさに気づいた。金額的なインパクトは3万円程度で大きくはなかったが、税理士とのやり取りで「なぜこの月だけ法人側なのか」を説明できない箇所があり、そこの確認に想定より時間を取られた。
反省点1: 経費区分のルールを「期首」に決めていなかった
一番の反省は、経費区分のルールを事業年度が始まる前に文書化していなかったことだ。
設立時点では「複業は法人、本業は個人事業」という大枠の役割分担しか決めておらず、「両方にまたがる支出をどちらに寄せるか」という細則を作っていなかった。細則がない状態で期中の判断を都度その場でやると、判断者である自分自身の基準がぶれる。特に繁忙期は「とりあえずどちらかに計上して後で直せばいい」という処理をした月があり、それが決算時のまとめ作業を増やす結果になった。
この反省を踏まえ、2期目の期首時点で以下を文書化した。
- 按分ルールの明文化: 両事業にまたがる支出は、法人側の売上構成比に応じて按分する固定ルールを決め、月ごとの裁量判断をなくす
- 計上タイミングの固定: 月末に必ずその月の按分処理を終わらせる。翌月に持ち越さない
- 証憑の保存先を分離: 個人事業分と法人分で、レシート・請求書の保存フォルダを最初から物理的に分ける
これは自分の事業構成(本業1つ+性質の異なる複業)に固有の対応であり、按分比率や運用ルール自体を他の人に勧める話ではない。ただ「期首にルールを文書化しておく」という進め方自体は、二刀流運用をしている自分にとって再現性のある反省だったので記録しておく。
反省点2: 法人の資金繰りを個人事業の感覚で見ていた
もう1つの反省は、法人口座の資金繰りを、個人事業口座と同じ感覚で見てしまっていたことだ。
個人事業では、売上が入れば基本的にそのまま自分の可処分になる。だが法人の場合、役員報酬は期首に決めた金額(月23,000円)を毎月定額で支払う必要があり、期中に業績が良くても悪くても基本的に変更できない(変更すると損金算入できなくなるケースがある)。この「期中は固定」という制約を、決算間際になって数字で突きつけられるまで体感として理解できていなかった。
複業側の売上は月によって波があるため、法人口座の残高が薄い月に固定の役員報酬と法人の固定費(会計ソフト、法人口座の維持費など)が重なるタイミングがあり、資金繰りとしてはヒヤッとする場面が1度あった。結果的に資金ショートには至らなかったが、「法人の資金繰りは個人事業とは別のロジックで見る必要がある」という認識を持てたのは、1期目を実際に回したことで得られた学びだった。
2期目の方針: 数字を見る頻度を上げる
1期目は、複業の0→1に時間を使うことを優先し、法人の数字を確認するのは基本的に月次の会計ソフトの自動集計に任せきりだった。この「数字は自動で見えているはず」という前提が、経費区分の揺れにも資金繰りの見誤りにも共通する根本原因だったと考えている。
2期目は、月末に15分だけ「個人事業と法人の数字を並べて見る時間」を固定でカレンダーに入れることにした。すきま時間運用である以上、時間を増やすのではなく、決まったタイミングで決まった確認をする仕組み化で対応する方針だ。
まとめ
- 決算時に、個人事業と法人の経費区分が期中の判断ブレでバラついていたことが発覚した
- 反省点1は「経費区分の按分ルールを期首に文書化していなかったこと」、2期目は按分ルール・計上タイミング・証憑保存先を固定した
- 反省点2は「法人の資金繰りを個人事業の感覚で見てしまい、役員報酬が期中固定であることの重みを軽視していたこと」
- 2期目は月末15分の数字確認を固定タスク化し、期中に歪みが積み上がる前に気づける仕組みに変える
次回は、この月次確認の仕組みを実際にどう回しているか、運用開始から数ヶ月経った時点の状況を書く予定だ。