「副業をしているけれど、本業の会社の年末調整で何か書く必要があるのか」「年末調整の書類から副業がバレないか」。 年末調整の書類が配られる時期になると、副業をしている会社員が迷うのがこの2つです。

2026年分(令和8年分)は、所得税の基礎控除が大きく変わり、合計所得金額によって控除額が104万円・67万円・62万円などに分かれるようになりました。副業の所得を足すと、この段階が変わることがあります。

この記事では、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」などの資料(2026年10月8日に確認)をもとに、次の4つを整理します。

  • 本業の会社に出す書類に、副業の所得を書くか
  • 2026年分の基礎控除の改正と、副業の所得の関係
  • 副業が給与のとき・事業や雑所得のときの、確定申告が必要になる基準
  • 年末調整で副業が会社に知られる可能性

この記事の結論(先に3点)

  1. 基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」には、副業の所得も含める: 2か所目の給与は給与収入に合算し、事業所得・雑所得は「給与所得以外の所得の合計額」の欄に書く
  2. 2026年分の基礎控除は、合計所得金額で決まる: 489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円。副業の所得を足して489万円を超えると、基礎控除が下がる
  3. 年末調整は本業の給与だけの精算: 副業の所得が20万円を超えれば確定申告が必要。20万円以下でも、確定申告をしないなら住民税の申告が必要

適合する読者と限定事項

  • この記事が役立つ人
    • 副業をしていて、本業の会社の年末調整の書類の書き方に迷っている会社員
    • 2026年分の基礎控除の改正で、自分の控除額がどうなるか知りたい人
    • 年末調整で副業が会社に知られないか気になっている人
  • この記事で扱わないこと
    • 確定申告書の画面ごとの操作手順
    • 会社の就業規則で副業が認められているかどうか(勤務先に確認してください)
  • 制度の記述は、2026年10月8日に確認した国税庁・総務省・e-Govの法令・自治体の情報にもとづきます

本業の会社に出す書類に、副業の所得を書くか

年末調整で会社に出す書類のうち、副業の所得が関係するのは基礎控除申告書です(国税庁の様式では、配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書と1枚になった「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼…」)。

この申告書には、本人の「合計所得金額の見積額」を書く欄があります。欄は次の2つに分かれています。

欄 書くもの
⑴ 給与所得 給与の収入から計算した所得。2か所以上から給与を受けている場合は、その合計額から計算する
⑵ 給与所得以外の所得の合計額 事業所得・雑所得など、給与以外の所得の合計

国税庁の令和8年分の記載例では、⑵について「給与所得以外の所得がある場合には、その合計額を記載します」としています。副業の所得も、この見積額に含めて書きます。

なお、合計所得金額には入らない所得もあります。源泉分離課税で納税が終わるものや、特定口座(源泉徴収あり)の譲渡益のように確定申告しないことを選んだ一定の所得です(国税庁「合計所得金額の計算について」)。

副業の所得は「売上」ではなく「所得」

事業所得や雑所得の金額は、収入から必要経費を引いた額です。副業で年間50万円の売上があっても、経費が20万円なら所得は30万円です。経費の考え方は、副業で経費にできるものは何かにまとめています。

2026年分の基礎控除の改正と、副業の所得の関係

2026年分(令和8年分)は、所得税の基礎控除が引き上げられました。国税庁の「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」によると、改正は令和8年12月1日から施行され、令和8年分の所得税に適用されます。11月までの給与の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算します。

令和8年分の基礎控除額は、合計所得金額で次のように分かれます(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。

合計所得金額 基礎控除額
489万円以下 104万円
489万円超 655万円以下 67万円
655万円超 2,350万円以下 62万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円

収入が給与だけの場合、合計所得金額489万円は給与収入665万5,556円に当たります。

副業の所得を足すと、段階が変わることがある

判定は合計所得金額で行うため、本業の給与所得だけなら489万円以下でも、副業の所得を足すと489万円を超えることがあります。

たとえば、給与所得が470万円で、副業の雑所得が30万円なら、合計所得金額は500万円です。この場合、基礎控除は104万円ではなく67万円になります(表から計算した例)。

副業の所得を見積額に入れずに出すと、本来より大きい基礎控除で年末調整されてしまいます。国税庁の「令和8年分 年末調整Q&A」では、会社は誤りに気づいたら訂正を求めるなどして、正しい基礎控除額で年末調整を行うよう案内しています。

見積額が実際とずれたとき

見積額は、年末調整の時点の見込みです。副業の所得は年末まで確定しないことも多く、ずれることがあります。

  • 控除が増える方向にずれた(還付になる): 国税庁の年末調整Q&Aでは、年末調整をやり直さずに、確定申告で還付を受けることもできるとされています
  • 控除が減る方向にずれた(税額が増える): 国税庁の年末調整の手引きが、源泉徴収票を交付する翌年1月末までの「年末調整のやり直し」を明記しているのは、配偶者控除・配偶者特別控除や特定親族特別控除の額が変わる場合などです。本人の基礎控除だけが変わる場合の扱いは明記されていないため、勤務先か税務署に確認してください

確定申告が必要になる基準:副業の種類で違う

年末調整は、本業の会社が本業の給与について行う精算です。副業の分は、副業の種類によって扱いが変わります。

副業が事業所得・雑所得のとき

ライティングやデザインの受託、ネット販売などで、給与ではない形で報酬を受け取る副業です。国税庁のタックスアンサー(No.1900・No.1906)によると、

  • 副業の所得が20万円を超える: 確定申告が必要
  • 副業の所得が20万円以下: 所得税の確定申告は原則不要

国税庁のNo.1906では、年末調整が済んでいる会社員でも「給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合」は確定申告が必要としています。20万円の考え方は、副業の確定申告はいくらから必要かで詳しく整理しています。

副業が給与(アルバイトなど2か所目の給与)のとき

年末調整は、扶養控除等申告書を出した1か所(主たる給与)でだけ行われます。2か所目の給与(乙欄が適用される給与)は、年末調整されません(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。

国税庁のNo.1900では、2か所から給与を受けている人は、次の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。

  • 年末調整されなかった給与の収入金額
  • 給与所得・退職所得以外の所得金額

2か所目の給与は「所得」ではなく**「収入金額」**で判定する点に注意します。ただし、給与の収入の合計から一定の所得控除を引いた額が150万円以下で、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の人は、申告が不要になる例外もあります。

20万円以下でも、住民税の申告は必要

所得税の確定申告が不要でも、住民税は別です。横浜市のよくある質問では、住民税は「所得の多少にかかわらず、給与所得と合算して税額を計算」するため、確定申告をしない場合は住民税の申告が必要としています。取り扱いの細部は自治体ごとに違うことがあるので、住んでいる市区町村に確認してください。

確定申告の時期と書類

確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 No.2020)。本業の会社から受け取る源泉徴収票の金額を使って申告書を作りますが、申告書に源泉徴収票を添付・提示する必要はありません(国税庁「確定申告の手引き」)。

年末調整で副業は会社に知られるか

ここは断定できることと、できないことを分けて書きます。

基礎控除申告書から分かること

基礎控除申告書は会社に出す書類で、「給与所得以外の所得の合計額」の欄があります。欄は合計額だけで、所得の種類を書く欄はありません。給与以外の所得があること自体は、会社が知りうるということです。会社がこの欄をどう扱うかについての公式の説明はありません。

住民税から分かること

会社員の住民税は、原則として給与から天引き(特別徴収)されます(地方税法第321条の3)。ただし、給与以外の所得の住民税は、確定申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選べます。選び方は副業の住民税を普通徴収(自分で納付)にする方法にまとめました。

注意したいのは次の2点です。

  • 副業が給与(2か所目の給与)の場合、その住民税は普通徴収にできない: 東京都中野区は、令和8年度分から2か所目の給与の住民税も主たる給与の会社で特別徴収すると案内しています。確定申告書等作成コーナーでも、給与と公的年金の所得しかない人は徴収方法を選べないとしています
  • 普通徴収を選んでも、特別徴収になる例外がある: 中野区の案内では、所得がマイナスの場合などは特別徴収になる例を挙げています

会社に届く住民税の通知書(特別徴収義務者用)には、給与から差し引く税額だけが書かれ、所得の内訳は載らないと中野区は説明しています。一方で、天引きされる住民税の額の変化から会社が気づくかどうかは、公式の説明がなく分かりません。

**「普通徴収を選べば絶対に会社に知られない」とは言えません。**就業規則で副業が認められているかを先に確かめておくのが確実です。

2026年分の改正で、ほかに気をつけること

配偶者・扶養親族の所得要件も変わった

令和8年分は、扶養親族や同一生計配偶者の合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました(給与だけなら収入136万円以下)。配偶者特別控除の対象は、合計所得金額62万円超133万円以下です。

配偶者や扶養親族に副業がある場合、「給与136万円以下」という目安だけでは判定できません。判定は合計所得金額で行うため、配偶者の事業所得・雑所得も合算します。配偶者控除等申告書にも、配偶者の見積額を給与所得と給与所得以外の所得に分けて書く欄があります。

自分の法人の役員報酬も、年末調整の対象

会社員の副業とは少し違いますが、自分で法人を作って役員報酬を受け取っている場合、その役員報酬も年末調整の対象です。私は自分のマイクロ法人の役員報酬について年末調整をしています。やり方はマイクロ法人の年末調整のやり方に書きました。

うまくいかなかったこと・この記事で確かめていないこと

  • 年末調整で基礎控除を多く受けすぎた場合に、確定申告でどう直されるかを明記した国税庁の文書は見つけられなかった。勤務先か税務署への確認を勧めている
  • 扶養控除等申告書に副業の所得を書く欄があるかは、様式を確かめていない
  • 天引きされる住民税の額から会社が副業に気づくかどうかは、公式の説明がなく分からない
  • 2026年分(2027年に出す)確定申告の受付期間は、国税庁の告知をまだ確認していない
  • 源泉徴収票の添付が不要という説明は、令和7年分の確定申告の手引きにもとづく

まとめ

  • 基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」には、副業の所得も含める。2か所目の給与は給与収入に合算、事業所得・雑所得は「給与所得以外の所得の合計額」に書く
  • 2026年分の基礎控除は合計所得金額で決まる(489万円以下104万円、655万円以下67万円、2,350万円以下62万円)。副業の所得で段階が変わることがある
  • 年末調整は本業の給与だけの精算。事業所得・雑所得は所得20万円超、2か所目の給与は収入金額などの合計20万円超で確定申告が必要
  • 20万円以下でも、確定申告をしないなら住民税の申告が必要
  • 基礎控除申告書から、給与以外の所得があることは会社が知りうる。2か所目の給与の住民税は普通徴収にできない

参照した資料(2026年10月8日確認)

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