「複業を始めたいが、子育てで時間がなく何から手をつけていいかわからない」という相談を受けることがある。結論から書くと、最初の一歩は事業を選ぶことでも、副業サイトに登録することでもない。まず1週間、自分がすきま時間に何をしているかを記録することだ。今回は、私自身が複業を始めた時に実際に踏んだ最初のステップと、その順番にした理由を具体的に書く。

なぜ「事業選び」から入ってはいけないのか

複業を始めようとすると、多くの人がまず「何をやるか」から考え始める。私も最初はそうだった。ブログ、せどり、プログラミング学習——いろいろな選択肢を比較検討する時間を、まとまった夜の時間を使って何日もかけていた。

今振り返ると、これは順番が逆だった。事業選びの前に確認すべきは「自分が実際に使える時間がどれくらいあり、どんな性質を持っているか」であって、これを飛ばして事業を選ぶと、選んだ後に「そもそもこの事業に必要な時間帯が自分には確保できない」という壁にぶつかる。私の場合、最初に候補に考えていたある事業は、平日日中にまとまった対応時間が必要なタイプで、子育てのすきま時間の性質と根本的に噛み合わなかった。これに気づいたのは、事業をある程度調べ終えた後だった。時間を先に把握していれば、その事業を候補から外す判断はもっと早くできたはずだ。

最初の一歩:1週間、すきま時間を記録する

そこで私が実際にやり直したのは、事業を選ぶ前に1週間、自分の1日のすきま時間を記録することだった。やり方は単純で、スマホのメモアプリに、隙間ができた時刻と長さ、そのときの状況(移動中か、手が離せない状況か)だけを書き留める。分析や工夫は一切せず、ただ記録するだけに徹する。

1週間記録してみて、私が実際に見えたのは次のようなことだった。

  • 朝の身支度・送迎の合間に10〜20分の隙間が1日に2〜3回発生している
  • 日中は本業に集中しているため、複業に使える隙間はほぼゼロ
  • 夕方の子の帰宅から夕食までは、隙間はあっても対応不能な状況(手が離せない)がほとんど
  • 子が寝た後に1時間前後のまとまった時間が確保できる日が週に4〜5日ある

この記録を取る前、私は感覚的に「複業に使える時間は1日30分くらいだろう」と思っていた。実際に記録してみると、細切れの時間帯と、夜のまとまった時間帯とでは「できることの質」が全く違うとわかった。この違いに気づいていなかったら、後から選ぶ事業も、その事業への時間の割り振り方も、精度の低いものになっていたはずだ。

記録からわかった時間を、2種類に仕分ける

1週間分の記録が集まったら、次にやったのは仕分けだ。難しい分析はしていない。すべての隙間時間を「作業系(考えなくてもできる)」と「思考系(まとまった集中が要る)」の2種類のどちらに向いているかで振り分けただけだ。

  • 作業系向きの時間: 移動中や送迎の合間など、中断されても支障が小さく、画面を見続けなくてもいい時間。ここでできるのは、単純作業や情報収集程度に限られる
  • 思考系向きの時間: 子が寝た後などのまとまった時間。ここでしか、企画を練る・構成を考える・込み入った作業に着手するといったことはできない

この仕分けをした時点で、まだ何の事業も選んでいない。だが、この仕分けがあるだけで、後で事業を選ぶときの判断材料が1つ増える。「その事業は、自分が持っている作業系の時間だけで回せるか、それとも思考系の時間が必須か」を先に問えるようになるからだ。

事業選びは、この後でようやく始める

私が実際に複業の候補を絞り込んだのは、この記録と仕分けを終えた後だった。判断基準は次の1点に絞った。

その事業の初期フェーズ(調べる・試す段階)が、自分の持っている作業系の細切れ時間だけで進められるか。

理由は単純で、複業を始めた直後は、思考系のまとまった時間よりも、リサーチや情報収集といった作業系の時間で進む工程の方が圧倒的に多いからだ。ここが細切れ時間で回らない事業を最初に選ぶと、着手する前から時間が足りないという壁に当たる。実際に、私が最終的に複数の複業を並行させる形に落ち着いたのも、1つ1つの事業の初期フェーズを、自分が持っている細切れ時間の量に合わせて設計し直した結果だった。

まとめ

  • 複業を始める最初の一歩は事業選びではなく、1週間、自分のすきま時間を記録することから始める
  • 記録は分析せず、隙間ができた時刻・長さ・状況だけを淡々と書き留める
  • 集まった記録を「作業系(考えなくてもできる)」と「思考系(まとまった集中が要る)」の2種類に仕分ける
  • 事業を選ぶ判断基準は、その事業の初期フェーズが自分の持っている作業系の細切れ時間だけで進められるかどうかに置く

次回は、この最初の一歩を踏んだ後、実際に最初の複業をどう選び、どう試し始めたかを具体的に書く。

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