結論から書く。子育てのすきま時間で複業4事業を回すうえで、私が意識的に手放したのは「完璧にやる」という発想そのものだ。完璧を目指すと、着手が遅れ、子の急な予定変更で計画が崩れるたびに心が折れる。今回は、私が「完璧を目指さない」を単なる精神論ではなく、日々の判断基準として運用している具体的なやり方を書く。

なぜ「完璧を目指さない」が必要になったのか

複業を始めた当初、私は本業のエンジニアリングで身についた「品質を担保してから出す」という感覚をそのまま複業にも持ち込んでいた。afflowの記事を書くにも、storeforgeの商品ページを作るにも、一度作り始めたら納得いくまで手を離さない。

その結果、何が起きたか。子が急に発熱して数日予定が崩れると、「中途半端な状態で止まっている」ことがストレスになった。再開するときも「どこまでやったか」を思い出すコストがかかり、結局最初から見直す羽目になる。完璧を目指すやり方は、時間がまとまって取れる前提でしか機能しない。子育てのすきま時間という制約と、根本的に相性が悪かった。

この失敗に気づいてから、私は「完璧」を判断基準から外し、代わりに「今の状態で止めても再開できるか」を基準に置き換えた。

判断基準を「品質」から「止めても再開できるか」に変える

具体的には、複業のタスクに着手するとき、私は次のチェックリストで作業単位を区切っている。

  • 30分以内で「一区切り」がつく粒度に分解しているか: 分解できていない大きな作業は、着手前に必ず小さく割る
  • 今の進捗を、明日の自分が5分以内に思い出せる状態で止めているか: 思い出すのに10分以上かかりそうなら、その場でメモを1行残してから手を離す
  • 「未完成」であることを許容できるアウトプットになっているか: 記事の下書き、商品ページの仮テキスト、動画の仮編集など、後から直せる形で一旦形にする
  • 今日この作業を完璧に仕上げることが、来週の事業全体の進捗より重要か: 重要でないなら、時間切れで打ち切ってよいと自分に許可を出す

このチェックリストの本質は、「作業を完璧に終わらせること」ではなく「いつ中断されても損失が小さい状態を保つこと」に評価軸を変えたことにある。子育てのすきま時間は、いつ発熱や急な呼び出しで中断されるか分からない。だから「完璧に仕上げる」ではなく「いつ止まっても大丈夫な状態を積み重ねる」方が、実際の時間の使い方に合っている。

「75点で出す」を許すことで生まれた変化

.bizguardrails的な言い方をすれば、これは「75点以上の品質を保つ」を狙いすぎないということでもある。私の場合、afflowの記事もstoreforgeの商品ページも、最初から100点を狙わず、公開してから直す前提で進めるようにした。

この変化で一番大きかったのは、着手までの時間が短くなったことだ。完璧を目指していた頃は「まとまった時間が取れるまで手をつけない」という先延ばしが起きていた。今は「10分あれば下書きの1段落を書く」「30分あればページの構成だけ作る」という形で、細切れ時間でも着手できるようになった。

もう1つの変化は、失敗の受け止め方だ。完璧を目指していると、公開した記事や商品ページの反応が悪いと「準備不足だった」と自分を責めがちだった。最初から「これは仮の形で、様子を見て直す」という前提で出していると、反応が悪くても単なる検証結果として受け止められる。事業を複数並行している以上、1つ1つの検証にかけられる時間は限られている。完璧を目指さないことは、検証のサイクルを速く回すための前提条件でもあった。

家庭側でも同じ基準を使っている

この「止めても再開できる状態を保つ」という発想は、複業だけでなく子育てとの両立そのものにも効いている。

子の体調不良や急な予定変更は、こちらの都合とは無関係に発生する。そのたびに「今日やろうとしていたことが完璧に終わらなかった」と落ち込んでいたら、複業を続けること自体が消耗戦になる。私は「今日は30分だけ手をつけられれば十分」というラインを事前に自分の中に持っておくことで、予定が崩れた日でも「まったく進まなかった」ではなく「区切りまでは進んだ」と評価できるようにしている。

完璧を目指さないというのは、手を抜くという意味ではない。子育てという不確実な制約の中でも事業を止めずに継続するための、現実的な運用ルールだと捉えている。

まとめ

  • 「品質を担保してから出す」発想は、子育てのすきま時間という中断前提の環境と相性が悪い
  • 判断基準を「完璧かどうか」から「止めても再開できるか」に置き換えた
  • 作業を30分以内で区切り、進捗を5分で思い出せる状態にし、未完成のまま形にして出す運用にしている
  • 75点で出す前提にしたことで着手が早まり、検証サイクルも速く回るようになった

次回は、この「止めても再開できる」運用を支える、複業タスクの記録・引き継ぎの具体的な仕組みについて書く。

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