「事業ごとの名義の固定」「口座・カードの使い分け」については別記事で書いた。今回はその先、実際に月次で数字をどう締めて、どう見て、次の月の判断にどうつなげているかという「回し方」の部分を書く。
先に結論を書くと、私は月次収支を「事業ごとの黒字・赤字を毎月確定させる」ためではなく、「継続するか止めるかの判断材料を毎月更新する」ために作っている。複業4事業はどれも道半ばで、月によっては赤字が普通に出る。だから月次の数字に求めているのは正確な損益ではなく、判断のための傾向線だ。
なぜ「月次で締める」ことにこだわるか
複業を始めた当初、収支の確認は正直かなり不定期だった。確定申告の時期にまとめて口座明細を見返し、「今年はこの事業がどれくらい使ったか」を後から把握するような形だ。
これで一番困ったのは、赤字が膨らんでいる事業に気づくのが数ヶ月遅れることだった。1ヶ月あたりの支出が小さくても、それが3ヶ月、半年と積み上がってから気づくのでは、判断のタイミングを逃す。複数事業を並行している以上、どれかの検証を止めて別の事業に時間を振り直すという判断は、遅くとも月単位で下したい。そこで、確定申告期にまとめて見る運用から、月次で締める運用に切り替えた。
月次で見ている3つの数字
事業ごとに厳密なP/Lを作っているわけではない。すきま時間で運用している以上、会計の精度に時間をかけすぎると本末転倒になる。私が毎月見ているのは、事業ごとに次の3つだけだ。
- 入金額: その月に実際に入った売上・報酬。見込みや請求額ではなく、口座に着金した金額のみをカウントする
- 支出額: その月に事業タグを付けて記帳した経費の合計(記帳の事業タグ運用については別記事で触れた通り)
- 累積収支: 事業を始めてからの入金額累計 − 支出額累計。単月の黒字・赤字よりも、こちらの傾きを重視している
単月の収支は変動が大きく、月によっては広告費やツール導入費がまとまって出ることもある。単月だけを見て一喜一憂すると判断を誤りやすいので、累積収支の折れ線がどちらに傾いているかを見るようにしている。
月初にやっている作業の実際
毎月、月初のすきま時間を使って次の手順で数字を確定させている。
- クラウド会計ソフトで、前月分の記帳がすべて完了しているか(未分類タグが残っていないか)を確認する
- 事業タグごとに前月の入金額・支出額を抽出し、スプレッドシートの事業別シートに転記する
- 各事業の累積収支を更新し、開始月からの折れ線グラフを更新する
- 前月の数字を見て、「継続」「様子見」「縮小・撤退検討」のいずれかを自分の中でラベル付けする
このうち4番目が一番重要だと考えている。数字を眺めるだけで終わらせず、その月時点での自分の評価を必ず一言で残す。後から見返したときに「なぜあの時点で継続と判断したか」を追えるようにするためだ。数字は同じでも、その時期の自分の判断根拠は記憶からすぐ抜け落ちる。
実際に判断に使った場面
抽象的な仕組みの説明だけでは意味がないので、実際にこの月次収支を見て判断を変えた例を書く。
複業のうち1つの事業で、累積収支の折れ線が3ヶ月連続で下向きに傾いた時期があった。単月ごとの支出は毎回「今回は初期費用がかさんだから」と個別に説明がついてしまい、単月だけ見ていたら見過ごしていたと思う。累積収支のグラフで俯瞰したことで、初期費用の言い訳が3ヶ月続いている、つまり構造的に支出が先行し続けているという傾向に気づけた。
このタイミングで、その事業にかけるすきま時間の配分を一時的に減らし、支出を増やす施策を止めて様子を見る判断をした。結果として翌月以降は支出が落ち着き、累積収支の傾きも緩やかになった。金額の大小よりも「傾きが変わったかどうか」を見る運用にしていたからこそ、早い段階で気づけた判断だったと思っている。
まとめ
- 月次収支は正確な損益確定のためではなく、事業ごとの継続・撤退判断を毎月更新するために作っている
- 見ているのは「入金額」「支出額」「累積収支」の3つだけで、単月より累積収支の傾きを重視する
- 月初の作業は記帳確認→事業別集計→累積収支更新→自分の評価を一言で残す、の4ステップ
- 累積収支の折れ線が下向きに傾き続けているかどうかは、単月の支出理由だけを見ていると気づきにくい
次回は、この月次収支の仕組みを支える記帳・会計ソフトの具体的な運用フローについて書く予定だ。
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