副業の申告方法を調べると、青色申告と白色申告の比較表が大量に出てくる。ただし表を見ても「自分はどちらを選ぶべきか」は分からない。控除額が大きいのは青色だと分かっても、その控除を受けるための手間が自分に見合うかは書かれていないからだ。

私は副業で青色申告を選んだが、所得が小さいうちは白色でも十分だったと思っている。この記事では、どこで選び分けるかの基準を書く。制度の詳細は年度で変わるため、最終的には国税庁の情報で確認してほしい。

違いは「控除額」と「記帳の水準」の組み合わせ

比較表でよく強調されるのは控除額だが、セットで見るべきなのは記帳に求められる水準だ。

青色申告で最大の控除を受けるには、複式簿記による記帳が要件になる。さらに電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存も条件に入る。簡易な記帳でも青色申告はできるが、その場合は控除額が下がる。

白色申告は簡易な記帳でよく、事前の申請も要らない。開業届を出していなくても申告できる。

つまり選択は「控除額を取るか、手間を減らすか」の二択になる。控除額だけを見て青色を選ぶと、記帳で苦労する。

分岐点は「控除額がコストを上回るか」

私が判断の基準にしたのは、次の比較だった。

青色申告で減る税額と、記帳にかかるコストのどちらが大きいか。

減る税額は、控除額に自分の税率を掛けたおおよその額で見積もれる。所得が小さいうちは税率も低いので、控除額が大きくても実際に減る税額はそれほどでもない。

一方のコストは2つある。

  • 会計ソフトの利用料 — 複式簿記を手作業でやるのは現実的ではない
  • 月次の作業時間 — 仕訳の確認と、用途を思い出して摘要を書く時間

所得が小さいうちは、このコストのほうが勝つ可能性がある。逆に所得がある程度の規模になると、控除で減る税額が明確に上回る。

具体的な分岐点は税率と作業時間の単価で変わるので、一律には言えない。ただし**「青色のほうが得」と無条件に言えるわけではない**ことは押さえておきたい。

申請期限を逃すとその年は白色になる

制度の面でいちばん注意すべきはここだ。

青色申告をするには、事前に青色申告承認申請書を提出する必要がある。提出期限は原則として、その年の3月15日まで。年の途中で開業した場合は、開業から2か月以内になる。

つまり申告の時期になってから「青色にしよう」と思っても間に合わない。その年は白色で申告することになる。

私は開業届と青色申告承認申請書をまとめて出した(副業の個人事業主の開業届をクラウドで30分で出した実例に手順を書いた)。この2つは同時に出せるので、開業のタイミングで一緒に処理しておくと出し忘れがない。

迷っている段階でも、申請だけ先に出しておくという選択はある。青色申告の承認を受けていても、実際の申告で白色を選ぶことはできる。逆は選べない。

白色でも記帳は必要

「白色なら帳簿が要らない」と誤解されることがあるが、そうではない。

白色申告でも記帳と帳簿の保存は義務になっている。簡易な方法でよいという違いはあるが、何も付けなくていいわけではない。

この点を知らずに「白色だから領収書を溜めておくだけでいい」と考えると、申告の時期に困ることになる。どちらを選んでも、記録を残す習慣は必要だ。

選び分けの順番

私が今から選ぶとしたら、この順番で考える。

  1. 開業のタイミングか → そうなら青色申告承認申請書も一緒に出す(出しても白色は選べる)
  2. 所得が小さいうちか → 小さければ実際の申告は白色でもいい
  3. 会計ソフトを使う前提か → 使うなら複式簿記の負担は大きく下がる
  4. 所得が増えてきたか → 青色に切り替える

1が重要なのは、期限を逃すと選択肢そのものが消えるからだ。申請を出しておけば、あとから規模に応じて選べる。

逆に言えば、開業のタイミングを過ぎてしまった場合は、その年について悩む余地がない。翌年に向けて申請を出すことになる。

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