複業4事業(storeforge・aerial-earth-studio・afflow・民泊)を並行していると、必ず聞かれるのが「どれが一番儲かっているのか」という質問だ。だが私はこの4事業を金額ベースのROIでは比較していない。まだどれも金額換算するには早すぎる検証フェーズだからだ。代わりに使っているのは「投下した時間に対して、次の意思決定に使える情報がどれだけ得られたか」という時間対効果の物差しである。今回はこの考え方と、実際に使っている判断基準を書く。

目次

なぜ金額ROIで測れないのか

複業の多くの記事では「投資額に対してリターンがいくらか」という金額ベースのROIが語られる。だが0→1フェーズの複業では、この物差しはほとんど機能しない。

理由は単純で、検証段階の事業は売上や利益がほぼゼロか、あっても誤差レベルの金額だからだ。storeforgeは小額(5万円上限)での市場検証段階、民泊もまだ具体的な数字を出せる段階ではない。ここで金額ROIを計算しても「無限大にマイナス」か「ほぼゼロ割り」のような無意味な数字にしかならない。

本業のクライアントワークでも似た局面はある。要件が固まっていない段階のPoCを、完成品と同じ投資対効果の基準で評価すると、着手すること自体が非合理になってしまう。複業も同じで、0→1フェーズの評価軸は金額ではなく別のものに置き換える必要がある。

私が使っている物差し「意思決定あたり時間」

私が実際に使っているのは、「1つの意思決定を確定させるまでにかかった時間」という物差しだ。

複業の0→1フェーズでやっていることは、突き詰めると「この事業は続けるべきか、方向転換すべきか、撤退すべきか」という意思決定の材料集めである。だとすれば、投下した時間の質は「その時間で何かしらの意思決定が確定したかどうか」で測れる。

具体的には、作業のたびに次の3つのどれに該当するかを振り返るようにしている。

  • 意思決定が確定した: 「この施策は効果がない」「このニーズは存在する」など、次に進むか止まるかが判断できる材料が出た
  • 判断材料が増えたが確定はしていない: データは集まったが、まだ続けるかの結論は出せない
  • 作業はしたが判断材料が何も増えていない: 手を動かしただけで、意思決定には何も寄与しなかった

3つ目のパターンが一定期間続いている作業は、たとえ「手を動かしている感覚」があっても、時間対効果としては赤字だと判断している。

実際にやめた作業の例

この物差しで実際に撤退・縮小した作業がいくつかある。抽象化して書くと以下のような形だ。

  • afflowの手動投稿作業: 毎日の投稿作業自体は継続していたが、振り返ると「投稿する/しない」の意思決定に影響する情報が何も増えていなかった。自動化スクリプトに置き換え、空いた時間をコンテンツ設計という「判断材料が増える」作業に振り向けた
  • storeforgeの特定商材リサーチ: 数週間リサーチを続けたが、途中から「調べれば調べるほど確信が薄まる」状態になっていた。これは意思決定が確定に向かっているのではなく、ただ時間を消費しているサインだと判断し、対象商材を切り替えた
  • aerial-earth-studioの投稿頻度の細かい調整: 再生数の微調整のような作業に時間を使っていた時期があったが、これは「続けるか撤退するか」という大きな意思決定には無関係な作業だった。優先度を下げ、新しい切り口の検証に時間を回した

共通しているのは、「作業している実感」と「意思決定が進んでいる実感」は別物だという点だ。前者だけで時間を使い続けると、忙しいのに事業が前に進まない状態に陥る。

判断に使っているチェックリスト

すきま時間で複業タスクに着手する前、次の3つを自分に問うようにしている。

  1. この作業が終わったとき、何かしらの「続ける/変える/やめる」の判断ができる状態になっているか
  2. その判断は、今週〜来週の時間配分に反映できる粒度か(半年後にしか活きない情報は今すぐやる必要があるか再考する)
  3. 同じ時間を他の事業の意思決定材料集めに使った場合と比べて、優先度は本当に高いか

3つ目が特に効いている。複業ログの1本目で書いた通り、事業ごとにボトルネックが違うため、常に「今この時間は、どの事業の意思決定を進めるのに一番効くか」を比較検討する余地がある。この比較を怠ると、惰性で同じ事業にだけ時間を使い続けてしまう。

まとめ

  • 0→1フェーズの複業は金額ROIでは測れない。まだ売上や利益が意味のある数字になっていないため
  • 代わりに「投下時間に対して意思決定材料がどれだけ増えたか」を物差しにしている
  • 「作業している実感」と「意思決定が進んでいる実感」は別物で、前者だけの作業は時間対効果として赤字と判断する
  • 着手前に「この作業で何かの判断ができるようになるか」「他事業に使った場合と比べて優先度は高いか」を自問するようにしている

次回は、この物差しを使って実際に複業の1つを撤退・縮小すると判断した経緯を、より具体的に書く。

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