FIRE達成後に何をするかを、私はまだぼんやりとしか言葉にしていなかった。だが最近、これは後回しにしていい問題ではないと考えを改めた。資産額のゴール(この柱の別記事で試算した通り、目標は5,000万円)は決まっているのに、そこに到達した後の生活の中身が空白のままだと、資産形成のペース配分そのものが決められないことに気づいたからだ。今回は、FIRE後にやりたいことを先に具体化し、そこから逆算して「今どの事業にどれだけ資源を割くか」を決めるプロセスを書く。

なぜ「後で考えればいい」では済まないのか

FIRE後の生活設計を後回しにしていた理由は単純で、資産形成そのものが今は手一杯だからだ。本業のFDEと複業(storeforge、aerial-earth-studio、afflow、民泊)を子育てのすきま時間で回している状態では、「その先」を考える余裕が物理的に少ない。

だが、資産形成の途中で判断を迫られる場面が実際に出てきた。複業のうち、どれを将来的に縮小し、どれを伸ばすかという判断だ。単純に「今の収益性が高いものを伸ばす」という基準だけで決めると、FIRE後に自分がやりたくない事業だけが手元に残るリスクがある。たとえばaerial-earth-studioは今は収益化の途上だが、映像制作という行為自体を私は続けたいと思っている。一方でafflowは収益化の速度は評価しているが、FIRE後も同じ熱量で続けたい事業かというと、正直まだ確信が持てていない。

この違いは、「今の数字」だけを見ていては絶対に出てこない。FIRE後にどう生きたいかを先に言葉にしておかないと、資産形成の過程で「稼げるが続けたくない事業」に時間を寄せてしまい、達成した時に手元に残るのが望んだ生活と違う、という事態になりかねない。

FIRE後にやりたいことを3つのレイヤーで書き出す

そこで私は、以前FIREを目指す理由を「支出・時間・意思決定」の3軸で棚卸しした記事の延長として、FIRE後の生活を3つのレイヤーで具体化する作業をした。

  1. 続けたい活動(Keep): 資産に働いてもらう状態になっても、自分の意思で続けたいと思う活動は何か。私の場合、aerial-earth-studioの空撮動画制作は明確にここに入る。収益の多寡に関わらず、映像を作って発信する行為自体が目的化している
  2. 手放したい活動(Drop): FIREを達成したら真っ先にやめたいと思う作業は何か。私の場合、クライアントの都合に稼働時間を合わせるスケジュール調整や、複業の中でも定型的なオペレーション作業(受注確認、投稿予約の設定など)がここに入る。事業そのものをやめたいわけではなく、その中の特定の作業だけを手放したいというケースもある
  3. 新しく始めたいこと(Start): 今は時間がなくて着手できていないが、FIRE後にやりたいことは何か。私の場合、子どもが今より大きくなった段階での家族旅行の計画や、地域との関わり方を今より濃くすることが挙がった。これは今の複業のどれとも直接関係しない、まっさらな項目だ

この3レイヤーを書き出してみると、「FIRE後の生活」が思っていたよりも解像度高く見えてくる。特にDropの項目が明確になったことが、自分にとっては一番の収穫だった。「事業をやめる」ではなく「作業を手放す」という粒度で考えると、今の事業運営の中でも先に着手できる改善が見つかる。

逆算して「今のリソース配分」に反映する

Keep・Drop・Startの3レイヤーを書き出したら、次にやるのは現在の複業への時間配分をこの結果と突き合わせる作業だ。私が実際にやった突き合わせは次の通りだった。

  • Keepに入った事業への配分を守る: aerial-earth-studioは現時点での収益貢献は複業の中でも大きくないが、Keepに分類されたことで「収益が伸びるまでは後回し」という判断をしないと決めた。今のすきま時間配分でも、この事業だけは優先度を落とさない
  • Dropに入った作業を仕組み化・外注化の対象にする: 受注確認や投稿予約といった定型作業は、FIRE後にやめたいと分かっているなら、FIRE達成を待たずに今から仕組み化や外注化を検討する対象になる。「いずれやめるものに時間を使い続ける」状態を、FIRE達成前から縮小していく方が合理的だと判断した
  • Startに入った項目のコストを資産形成の目標値に反映する: 家族旅行の計画や地域との関わりは、実現に一定の生活費がかかる。この分を資産形成の目標額の試算に上乗せするかどうかは、まだ完全には決め切れていないが、少なくとも「今の生活費の延長線上」だけでFIRE後の必要額を見積もるのは不十分だと分かった

この突き合わせをやって初めて、「複業のどれを伸ばすか」という日々の判断に、FIRE後の生活という補助線が引けるようになった。収益性だけで判断していた時期と比べて、優先順位の付け方が変わったのが自分でも分かる。

この作業は一度で終わらない

もう一つ書いておきたいのは、この棚卸しは一度やって終わりではないということだ。子どもの成長段階が変わればStartの項目は入れ替わるだろうし、複業の実態が変わればKeepとDropの境界も動く。今回書いたのはあくまで現時点のスナップショットであり、今後も定点観測のように見直していくつもりでいる。

FIREという言葉は「達成した瞬間」に焦点が当たりがちだが、実際にはその後の生活の方がはるかに長い。達成後の生活を先に具体化しておくことは、資産形成のペースを守るためというより、今この瞬間の事業への向き合い方を健全にするための作業だと、今回書き出してみて実感した。

まとめ

  • FIRE後の生活設計を後回しにしていたが、複業のリソース配分を判断する場面で「今の数字」だけでは決められないことに気づいた
  • FIRE後にやりたいことを「続けたい活動(Keep)」「手放したい活動(Drop)」「新しく始めたいこと(Start)」の3レイヤーで書き出した
  • Keepの事業は収益性が低くても優先度を守り、Dropの作業は今のうちから仕組み化・外注化の対象にし、Startのコストは資産形成目標の見直し材料にした
  • この棚卸しは一度で終わらせず、子どもの成長や事業の実態に合わせて定点観測のように見直していく

次回は、この棚卸しを踏まえて複業の中で実際に縮小・撤退を検討している事業について書く。

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