FIRE目標額を家計簿から逆算した記事で、支出を「削るか残すか」の判断軸を大枠で書いた。今回はその続きとして、実際に家計簿の費目レベルまで踏み込み、何を削り、何をあえて削らなかったかを具体的に記録する。先に結論を書くと、私が削ったのは「惰性で払っていた固定費」だけで、変動費・浪費側にはほとんど手をつけていない。削ったのは金額の大きさではなく、見直しコストの低さで選んだ費目だ。
支出削減を「金額順」でやらなかった理由
家計を見直すとなると、真っ先に金額の大きい費目から手をつけたくなる。我が家で言えば住居費や教育費が該当するが、私はここには最初から手をつけないと決めていた。
理由は単純で、金額が大きい費目ほど見直しコストも大きいからだ。住居費を削るには住み替えという大きな意思決定が要るし、教育費は子どもの選択肢に直結する(教育費の扱いは別記事で書いた通り、FIRE後もむしろ増える想定で組んでいる)。金額の大きさだけを基準に着手すると、検討に時間がかかる割に実行に移せず、結局何も削れないまま終わる。
そこで私が使った基準は「金額の大きさ」ではなく「見直しにかかる意思決定コストの低さ」だ。具体的には、次の3条件をすべて満たす費目から着手した。
- 解約・変更しても生活の質にほぼ影響しない
- 意思決定に家族の合意形成が要らない、または短時間で済む
- 一度見直せば効果が継続する(毎月判断し直す必要がない)
この基準で洗い出すと、対象になったのはほぼ固定費、それも「契約した時点の必要性が今は薄れているサブスクや保険」に集中した。
実際に削った費目
MoneyForwardの実データで棚卸しした結果、削った費目は次の通りだ。
- 使っていないサブスクリプション3件: 動画配信・学習アプリ・クラウドストレージのうち、直近3ヶ月ログインしていないものを解約した。合計で月2,000円の削減
- 重複していた保険特約: 医療保険とマイクロ法人で加入している役員向け保障が一部重複していたため、個人側の特約を減額した。マイクロ法人を持ったことで保障の考え方自体が変わった、という側面が大きい(詳細は法人運営側で扱う話なので深追いしない)
- 格安SIMへの乗り換え: 家族分の携帯回線をキャリアから格安SIMに切り替えた。月8,000円ほど下がった
- 使用頻度の低かったジム会費: 在宅ワーク中心の生活で通う頻度が落ちていたため解約し、自宅でできる運動に切り替えた
これらに共通するのは、「契約した当時は必要だったが、生活・働き方が変わって前提が崩れている」という点だ。削減額自体は月換算で数千円〜1万円台と、単体ではFIRE目標額に大きく効くものではない。ただし年間・複数年で積み上げれば無視できない額になるし、何より「一度見直せば以後は判断コストがかからない」という性質が、すきま時間しかない自分には合っていた。
あえて削らなかった費目とその理由
削らなかった費目の方が、実は判断として重要だと思っている。次の3つは、金額だけ見れば見直し余地があるように見えても、あえて手をつけなかった。
- 子どもの習い事・体験費用: FIRE目標額の逆算でも書いた通り、子どもの選択肢を狭めないことが「支出の自由」の軸そのものだ。ここを削ってFIRE達成を早めても、目的と手段が逆転する
- 時短のための家事代行・宅配サービスの一部: 削減候補には挙がったが、削ると浮くのはお金ではなく自分の可処分時間だと気づいた。複業4事業を子育てのすきま時間で回している以上、時間を切り売りしてお金を残す判断はしていない
- 本業・複業に関わる学習投資(書籍・有料コミュニティ・ツールのサブスク): 一見削減対象に見えるが、これは支出ではなく複業の収益基盤への投資だと位置づけている。ここを削ると将来の収入の伸びを削ることになりかねない
削らなかった費目に共通する判断軸は、「削ると自分たちの状況判断そのものの前提が崩れるかどうか」だ。子どもの選択肢、自分の可処分時間、複業の成長余地——このいずれかを犠牲にしてまで支出を削るのは、私にとってのFIREの定義(支出・時間・意思決定の自由を広げること)と矛盾する。
迷って保留にした費目
削る/削らないの二択で即断できず、保留にした費目もある。判断材料が今の時点でまだ揃っていないものだ。
- 外食・宅配の頻度: 完全にゼロにはしないが、回数を減らす余地はある。ただし「時短」の側面もあるため、削減額と時間コストのどちらを優先するかの結論が出ていない
- マイカーの維持費: 民泊事業の物件確認や複業の移動で使う頻度が地味に高く、手放す判断はまだできない。ただし使用頻度を四半期ごとに記録し始めており、閾値を下回ったら見直す予定にしている
保留にした費目は、削るか残すかを「今すぐ決めない」こと自体を判断として記録しておくのがポイントだと考えている。中途半端に感覚で「まあいいか」と流すのではなく、次に見直すタイミングと判断材料を明文化しておけば、後で放置していたことに気づかず終わるのを防げる。
まとめ
- 支出削減は金額の大きさではなく、「見直しの意思決定コストの低さ」を基準に着手する費目を選んだ
- 削ったのは使っていないサブスク・重複保険・通信費・低頻度のジム会費など、契約時の前提が崩れていた固定費
- 削らなかったのは子どもの習い事、時短サービスの一部、複業への学習投資——いずれも削ると「支出・時間・意思決定の自由」というFIREの定義そのものと矛盾する費目
- 即断できない費目は無理に結論を出さず、見直しタイミングと判断材料を決めて保留にする
次回は、この支出管理の結果が実際の資産形成ペースにどう反映されているか、進捗トラッキングの数値を交えて書く。